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I(愛)ちゃんとP(パパ)とO(小野田君)の会話が続きます。

イラスト

Iちゃん

今日は、小野田君が自発的に勉強してきた結果の報告だったわね。
「NTTの固定電話網の今後について」だったわよね。

小野田君

そうです。
長い間、電話サービスの主役だった「固定電話網」が無くなって「IP網(NGN)」に切り替わっていく途中の「電話網の切り替えの話」です。

Iちゃん

図1 固定網はIP網へ移行
図1 固定網はIP網へ移行

えーっ!
固定電話網(電話局交換機)の廃止は、確か2025年頃って、この勉強会で教わったように覚えているけどー?(*1)

小野田君

そうです。
その記憶正しいです。よく覚えていましたね。
でも、それとは矛盾はしていないんです。順序立てて説明しますね。
NTTが昨年の11月6日に情報公開した「固定電話網の今後の方針」なんです。

Iちゃん

固定電話網って、アナログ電話とINSネット網のことだよね。

小野田君

そうです。
長いこと我々の通信インフラのベースだったものですね。

Iちゃん

えーっ!それが無くなってしまうの?

小野田君

余り先走らないで下さい。(笑)
「IP網(NGN)」に移行していくんですが、その移行について「現在利用している"固定電話"を逐次IPへ移行することによって"維持"」はしていくんです。

Iちゃん

どういうこと?

小野田君

その内容はね

  1. 基本的な音声サービスはご利用可能
    (基本的な通話に加え、ISDNの通話モード、キャッチホン、ナンバーディスプレィ、公衆電話等)
  2. ユーザー宅での工事は不要で電話機等はそのまま利用可能
  3. 基本料は可能な限り現状と同等の水準を維持
    (既存のメタルケーブルを利用)
  4. 通話料は距離に依存しないIP網の特性を活かし、より使い易い料金へ
  5. 2025年頃に中継/信号交換機が維持限界を超える中、IP網への移行時期については、
    関係事業者との対応を踏まえて別途公表する

といったものです。

Pパパ

この移行計画でNTTはどんな事を考えているのかな?

小野田君

図2 メタルケーブルの利用
図2 メタルケーブルの利用

はい。
NTTは「"固定電話"を維持するための見直し」として、次のようなことを言っています。

  1. お客様に出来る限り負担をおかけしないよう「固定電話」を維持していただくために、IP網への移行に合わせ、「固定電話」が歴史的に果たしてきた、「別紙」に掲げるPSTN特有の機能については、原則、具備しない。
  2. 併せて、「固定電話」の提供方法等についても、できる限り効率的に提供できるように見直す。
    (具体例)
    • 自治体等からの要請により無電柱化(ケーブルの地中化)等を行うに当たって、メタルケーブルを再敷設せず、光や無線を使って提供
    • 「固定電話」に求められてきた高い通話品質等(遅延条件等)を携帯電話並みに見直しする

ですね。

Iちゃん

「別紙」とある固定電話特有の機能って何?

小野田君

その「別紙」を表1に整理し直したので、見て下さい。

Pパパ

そうだね。
表の中で、ユーザーが気をつけなければいけないのは、赤字の「具備しない」と云う点だ。
小野田君もその意味で赤字にしたんだろう?

小野田君

はい。そうです。
ここでは「優先接続(マイライン)と中継選択機能だけが書かれていますが、もっといろいろありそうなんです。
ユーザーは、NTTと早目に相談した方がいいと思います。

表1 主なPSTN特有の機能の見直し
表1 主なPSTN特有の機能の見直し

出典:NTT報道資料(2015.11.6)

Iちゃん

一寸待って!
ユーザーが注意した方がいいって、どんな機能(サービス)のこと?

小野田君

そう、私が以前調べたものでは、ユーザー数の減少が見込まれる「INSネット、ビル電話、着信用電話、支店代行電話、有線放送電話接続電話、ピンク電話、短縮ダイヤル、キャッチジョン、ディスプレィ、ナンバー・アナウンス、でんわばん、トーキー案内、発着信専用、ノーリンギング通信等」がありました。
このユーザーは、NTTによく確認する必要があると思います。

Iちゃん

このサービスだけ注意すればいいの?

小野田君

いやいや、その他にも「キャッチホンII、マジックボックス、ボイスボックス、オフトーク通信、信号監視通信、ダイヤルQ2、接続通話サービス(コレクトコール等)等」で、これらはIP網への移行過程で順次サービス提供を終了すると聞いています。
これらのユーザーもNTTへの確認が必要と思います。

Pパパ

小野田君、概要と注意事項などは分ったが、ネットワークがどのように移行していくのか、分り易く説明してくれないかな?

小野田君

分りました。
NTTの情報公開(リリース)に、その図がありましたので、紹介します。(図3)

図3 PSTNからIP網への移行のシステムイメージ
図3 PSTNからIP網への移行のシステムイメージ

出典:NTT報道資料(2015.11.6)から作成

Pパパ

現在の加入者交換機(LS)のD70デジタル電子交換機を「集線装置(メタル収容装置)」として使って、変換装置経由IP網につながる形だね。

小野田君

そうです。
つまりPSTNの中継交換網は完全に無くなるということですね。
2025年に向けて、電話交換網(電話局)は終焉に向かって行くと云うことです。

Iちゃん

それって、「音声通信」のトラヒックがどんどん減少していくってことかしら?

Pパパ

ほほう。愛ちゃん鋭い指摘だね。
小野田君その辺はどうなっているのかな?

小野田君

図4 1日当たりの平均利用時間(2014年度)
図4 1日当たりの平均利用時間(2014年度)
出典:総務省平成26年情報通信メディアの
利用時間と情報行動に関する調査報告書

それを示すデータがあります。(図4)
一日あたりのメディアの「平均利用時間」なんですが、1位がメール、2位がSM、3位が携帯電話、4位がネット電話で、何と固定電話は殿(しんがり)の5位になり下がってしまったのです。
メールの1/15になってしまいました。

Iちゃん

そうよねー。
私もここ1年くらい「固定電話」って使ったことないもの。第一、加入者数(端末数)も激減していない?

Pパパ

またまた冴えた質問だね。
小野田君、調べてあるかな?

小野田君

はい、調べてあります。
図5を見て下さい。
2000年度末から2014年度末までの14年間に、固定電話の減少とモバイルの急成長がはっきり分りますね。

Iちゃん

ほんとだ。凄い、凄い。

図5 音声通信を取り巻く環境変化
図5 音声通信を取り巻く環境変化

出典:NTT報道資料(2015.11.6)より作成

小野田君

モバイル・ブロードバンドの進展によって、コミュニケーションが多様化(ソーシャルメディアの急速な普及等)して、「固定電話」のプレゼンスは大きく低下したことが分ります。

Pパパ

時代の流れと言ってしまえば一言だが、流れはIP(NGN)に向かって流れていると云うことだね。
メールトラフィックが増えているということは、インターネットの利用がますます増えているということなんだね。
インターネットで「ニュースを知る人種」が増えているんだよ。
次回はその辺の話をして上げよう。

*1
2025年廃止:このコラムの第67回で「電話局の命日」として解説済み。

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