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第95回 「LTE」の話

IPよもやま話

IちゃんとP(パパ)と小野田君の会話が続きます。

イラスト

Iちゃん

今日はパパの出番で「LTEの話」だったわよね。
私が使っているiPhone5はLTEですよね。
でも、「LTE」って、ただ「速度が早いこと」ぐらいしか知らないけど、本来の意味を教えて欲しいな。

Pパパ

うん。
小野田君、言葉の意味くらいは分かるよね?

小野田君

はい。
LTEとは、Long Term Evolution(ロング・ターム・エボリューション)の略です。
その大雑把な意味を言うと、第3世代(3G)携帯電話のデータ通信を高速化した新たな携帯電話の通信規格ということになります。

Pパパ

はっはっは。正解だが、文字通り「言葉の意味」だけの答えだね。

小野田君

図1 4社出揃ったLTE
図1 4社出揃ったLTE

いえ、もうすこし説明できます。
auとソフトバンクが、共に初のLTE対応端末となる「iPhone5」を発売してから約半年になりますが、先行していたドコモとイー・モバイルを加え、これで4大キャリアによるLTEサービスが出揃ったことになるんですね。

Pパパ

ほうほう。

Iちゃん

私、3Gとか4Gとかっていう言葉も余り分からないんだけど?

小野田君

「3G」とは3rd Generation、つまり携帯電話で利用している通信システムの第3世代という意味です。「1G」「2G」「4G」もそれぞれ数字の世代ですよ。
「4G」にもいろいろな規格がありますが、その一つが、今日勉強している「LTE」(ロング・ターム・エボリューション)です。
正確に言うと若干違うんだけど、現状は4G=LTEと認識しちゃってもいいでしょう。

Iちゃん

では、そう思います。
そのLTEって何がいいの?

小野田君

図2 LTEの特長
図2 LTEの特長

LTEの特長は
(1) 高速
(2) 大容量
(3) 低遅延
の3つだと言われています。

Iちゃん

そうよね。
私が理解していたのは、(1) だけですけど・・・。

Pパパ

ほほう!
今まで使っていた3G携帯と比べるとどのくらい早いのかな?

Iちゃん

わー、いじわる!
そこまで知らないわ!

小野田君

僕が説明します。
表1のようになっています。

表1 LTEの通信速度

表1 LTEの通信速
キャリア 速度(Mb/秒) サービス名 LTEの方式
下り 上り
ソフトバンクモバイル 75Mbps 25Mbps SoftBank 4G LTE FDD-LTE*2
KDDI(au) 75Mbps 25Mbps 4G LTE FDD-LTE
ドコモ 75Mbps 25Mbps Xi(クロッシィ) FDD-LTE
イー・モバイル 75Mbps 25Mbps EMOBILE LTE FDD-LTE

Pパパ

そうなんだが、実際の各キャリアの実力は微妙に違っているようだね。
私が持っている情報*1はね、

  1. ソフトバンクは、2012年9月21日iPhone発売と同時にLTEのサービス開始をしたが、「受信可能地点」が急ピッチで通信網を拡大している」という(孫正義社長)の言葉が裏付けられた。このことはテレビのCMでも宣伝しているね。
  2. NTTドコモは、利用者が多いため通信容量に余裕がない」のか、速度は最も遅かった。ただ「一度つながれば最も途切れにくく、安定感は抜群」という評価もある。
  3. KDDIは、ソフトバンクと同じ日にサービス提供したが、立上がりの遅れが否めず、受信可能地点は最も少ない。しかし、LTEが届かず、現在主流の「3G回線」で対応する地域では「安定した速度を見せ、優位性がある」と言う評価もある。といった調査結果を聞いたことがあるね。

Iちゃん

その数字を聞いても理解できないわ。
今までの3Gに比べてどのくらい早くなったの?

小野田君

愛ちゃんが以前使っていた「FOMAハイスピード(FOMA-HSPA)」の最大伝送速度は7.2Mbpsで、Xiは75Mbpsだから約10倍ってとこかな。
車に例えるなら、乗用車とレーシングカーみたいなものだね。
文学的に言えば、3Gのパワーアップ版が4Gと思えばいいですね。

図3 速度の違いは歴然
図3 速度の違いは歴然

Pパパ

通信速度について、少し補足しよう。
LTEの最大通信速度は、理論上、下り326.4Mbps、上り86.4Mbpsとされているんだ。
これは150MBのファイルを約4秒でダウンロードできる速度で、将来的に条件が整えば、光ケーブルなどを使った有線ブロードバンドサービスに迫るスピードが実現できるとされているんだよ。

Iちゃん

すごーい。
私のLTEもそんなに速いの?

Pパパ

いや。それがね。
実際の通信速度は、携帯電話事業者に割り当てられた周波数帯域幅や、基地局装置・端末の性能などによって異なるために、2012年10月時点での最高速度は、下り最大75Mbps、上り最大25Mbpsとなっているんだ(表1)。
NTTドコモが2012年冬モデルから受信時最大100Mbpsというサービスに対応した製品を発表したから、今後各社が高速化を目指していくと考えられる状況なんだ。

Iちゃん

分かったわ。
では、(2) の「大容量」って何のこと?

小野田君

FOMA-HSPAと比較して「周波数利用効率」は、約3倍なんだ。
ついでに (3) の低遅延化についても説明すると、FOMA−HSPAに比べて、伝送遅延は最大で1/4に短縮されているんだ。

Iちゃん

すごい新兵器ね。
LTEって今後のモバイル端末にとってどんな影響があるのかな?

Pパパ

ほう。
レベルの高い質問をするね。
愛ちゃんらしくないね。(笑)
いや、失礼!
LTEは携帯電話機のみならずノートパソコンやタブレットのような携帯情報端末からの利用も想定して開発されているため、モバイル通信規格の国際標準として、世界各国のさまざまな通信事業者が「LTE」の導入を進めているんだよ。

小野田君

そうなんですね。
スマートフォンやタブレットで、アプリや音楽、動画などをスムーズにダウンロードしたり、画像の多いサイトを素早く閲覧することができるようになることは、愛ちゃんのような「モバイルユーザー」にとって魅力的な付加価値であるため、LTEの動向は今後、通信サービスやデバイスの選定などに大きな影響を与えるかもしれませんよね。

Pパパ

そう。
日本では先日LTE対応のiPadとiPad miniが発売されたことで、いままで浸透率が低かったタブレット端末の市場が急拡大するのではないかとも言われているね。

Iちゃん

そうよね。
タブレットの勉強はしたけど、タブレットってスマートフォンよりも画面が大きく、表現力が広がるからこれからアプリも含めて普及していくでしょうね。
私も、そろそろタブレットも持とうかなって、考えているところです。

ところで、パパ。
携帯電話の番号がいままでPHSの領域だった「070」まで使うようになるって、テレビの報道があったけど、PHSと区別がつかなくなってしまうのかしら?
教えてくれない?

Pパパ

そう携帯電話の普及がすすんで、「090」と「080」だけでは足りなくなるんだね。
しかし、たまにはそのくらいは愛ちゃんが勉強して報告したらどうなんだ。

Iちゃん

分かりました。
次回は、私がやります。

*1
情報:調査会社「ITC総研」が実施した実測調査結果で、調査は2012年10月22日から31日まで実施。札幌市から福岡市まで、無作為抽出した商業施設や住宅地、官公庁、学校、駅など200地点で行われた。
*2
FDD−LTE:現在主流のLTE方式。もう1つTD-LTEがある。TD-LTEもソフトバンク傘下のWCP(旧ウィルコム)がこの方式と完全互換性のある通信方式を採用しており、「SoftBank 4G」としてサービスを開始している。
この2つの方式は、近いようでまったく別物。大きな違いは、FDDは音声通信(要するに電話)の利用を前提にしているのに対し、TD-LTEはデータ通信での利用が前提になっている点。

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