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IちゃんとP(パパ)小野田君の会話が続きます。

イラスト

Iちゃん

パパ、前回「私物のスマホなどを会社で仕事に使えないか」って聞いたら「"BYOD"とか言う話をしてくれるっていったけど「BYOD」って何のこと?

Pパパ

そうだね。
言葉の意味をたとえ話で説明しよう。
それはね、小野田君の得意な「飲み屋に自分の好きな酒を持ち込むこと」と同じ意味だ。(図1)

Iちゃん

図1 BYODは持ち込み酒
BYODは持ち込み酒

えーっ!持ち込み酒のこと?それなら、小野田君よりパパの得意種目じゃないの!でも、そんなことより、その意味が分からないわ。ちゃんと説明して!

Pパパ

はっはっは。
BYODとは「Bring Your Own Device」の略で、「自分のデバイスを持ち込む」という意味なんだ。
図1の漫画にあるように、もともと自分の飲み物を持ち寄る「BYOB」(Bring Your Own Bottle/Booze/Beer)という、以前から使われていた言葉をもじって作られたと考えられているんだよ。
それをもじって「私物のスマホを会社に持ち込み、業務で使う」ってことなんだ。

Iちゃん

そうなんだ。面白―い!
「持込み酒」の話そのものなのね。(笑)

Pパパ

私物の端末を企業内での業務に使うという動きは、数年前から米国を中心に海外で盛んになってきており、日本でも一部の企業が取り入れ始めたね。
スマホやタブレットの急速な普及で、この言葉が俄かに取り上げられるようになってきたというわけさ。

小野田君

何かわが日本の現状のデータがありますか?

Pパパ

うん、あるよ。
図2をみてくれ。 これは、ある調査会社が行ったアンケートなんだが、「社内の情報システム/ネットワークを自分が所有するデバイスで使いたいか?」と399名に聞いた結果だ。
この類のアンケートはあちこちで行われているが大同小異なので、一例として紹介するんだが、愛ちゃんのように「使いたい」という人が多いんだね。

図2 自分の所有するデバイスを社内で使用したいか?
自分の所有するデバイスを社内で使用したいか?

小野田君

図では17%が「既に使っている」と答えていますが、意外と多いですね。「企業側の認識はどうなってるか」のアンケート結果などもありますか?

Pパパ

うんうん。それもある調査で、回答のベスト3は

  1. 今のところ「現在も今後も認める予定はない」:79.2%
  2. 特に社内規定を設けていない:14.7%
  3. 現在は認めていないが今後は認める予定:8.9%

となっているんだ。
わが国では、これからのテーマだといえるかもしれないね。

Iちゃん

そもそもBYODのメリットとデメリット(問題点)をキチンと理解しないと、企業も私たちもBYODを採用するかどうか判断できないと思うんだけど?

Pパパ

ほほう。いいことを言うね。
そうくると思ってちゃんと資料を作っておいたよ。
まず経営者やIT管理者にとってのメリット・デメリットが表1だ。

表1 経営者やIT管理者にとってのメリット・デメリット

経営者やIT管理者 メリット デメリット
(1)端末機器の購入費用や通話料金が削減できる。 (1)端末の紛失や盗難による情報漏えいの危険性
(2)会社支給端末の資産管理や通信料金の管理工数が減る。 (2)管理やセキュリティ担保のためのコスト増加
(3)操作教育やヘルプデスクに関わるコストが削減できる。 (3)多種多様な端末への対応のためのコスト増
(4)優秀、多様な人材の確保 (4)個人のコスト負担強制への懸念
(5)非常時にも事業を継続できる。(BCP) (5)社内にマルウェアが侵入する危険性
(6)モチベーションの高まりによる生産性の向上  
(7)使い慣れている端末の業務利用で生産性が向上  

Pパパ

一方、従業員にとってのメリット・デメリットを表2に示した。

表2 従業員にとってのメリット・デメリット

従業員にとってのメリット・デメリット メリット デメリット
(1)貸与端末と私物の2台持ち(2丁拳銃)が不要になる。 (1)勤務時間の長時間化・不規則化の懸念
(2)派遣/契約社員など、貸与の困難な社員もスマホを業務に活用できる。 (2)端末購入費用の負担
(3)好きな端末を自分で選択できる。 (3)公私分計で費用申請などが必要になると面倒
(4)改めて操作や機能を学習する必要がない。 (4)端末紛失時に会社に手数をかける。
(5)高機能の最新機種を業務に使える機会が増える。

小野田君

この2つの表から分かることは

  1. 経営者やIT管理者にとっては、「スマートデバイス購入のコストを抑え、より戦略的な投資に注力できる」
  2. 従業員にとっては、「柔軟なワークスタイルを実現し業務効率・生産性を向上=コンシューマライゼーション」することに貢献する。

ってことですか?

Pパパ

うんうん。
良く纏めたね。

小野田君

一番の問題は、紛失などによる機密情報の漏洩(セキュリティ)の問題でしょうね。

Pパパ

そのとおり。
しかし、問題解決は進んでいてね。MDMと呼ばれるツールがあるんだ。

小野田君

それは何ですか?

Pパパ

企業の機密情報を入れたスマートフォンやタブレット端末を落としたり盗まれたりすると情報漏洩を引き起こす懸念があるよね。
この場合には、リモートから端末の 情報を削除したり端末にロックをかけたりできる「MDM」(Mobile Device Management)*1と呼ぶツール/サービスが有効なんだ。
日本語では、携帯端末管理とも言われるもので、スマートフォンと言われるAndroid,iPhone/iPad,ブラックベリー,ウインドウズモバイルは、パソコンと同様な汎用性を持つことからパソコンと同様に、情報セキュリティの観点から管理を行う必要性が増してきたため、それを実現する製品(ソフト)のことだ。

Iちゃん

そうか、MDMがあれば安心してなくせるんだ! (笑)
それは分かったけど、個人用(私物)なんで、「端末購入費負担」や「通信料金負担」の問題が大きいと私は思うな。

Pパパ

図3 お金の問題もある
お金の問題もある

安心して紛失しては駄目だよ。(笑)
「端末購入費負担」や「通信料金課金」の問題も大きいね。いいところを突くね。

「端末購入負担」は、会社側のスタンスの問題だ。業務も私用にも使うので「個人全額負担」のケースが多いが、一部負担のケースもあるね。

「通信料負担」については、いわゆる「公私分計」の方法がある。

小野田君

1台のスマホで社用電話も私用電話も使うと、社用分は会社に負担して貰いたいですよね。

Pパパ

そう。それを行うのが「公私分計」だ。一番簡単なアナログ的公私分計には

  1. (性善説で)社員からの請求をベースに支払う方式
  2. 電話専用に「フューチャーフォン」*2を貸与する方法などがある。

Iちゃん

何だか原始的ね。もっとスマートにやる方法はないの?

Pパパ

いや、それもあるんだ。
1台のスマホで確実に公私分計ができるサービスや製品が登場しているんだよ。
2つほど紹介しよう。
表3を見てくれ給え。

表3 BYODの公私分計の方法

方式名 内容
1 業務電話に"050"番号のIP電話を活用する (例)NTTコミュニケーションズの「050 Plus for BIZ」
"080" "090" 番号で発信するほかに、050番号のIP電話を使う方法で、このサービスだと社員間の通話は無料。月額基本料は525円/番号で、個人向けの「050 Plus」の315円/番号よりも高いが、公私分計のほかにもいろいろな法人向けのサービスがある。(4桁の内線番号を使って社員同士で通話できる内線機能など)
2 コールバック通話で料金を会社に請求する (例)エス・アンド・アイの「uniConnect」
オンプレミス*3で公私分計を可能にするもので、会社側からのコールバックを利用することで個人端末からかけた業務電話の料金を会社請求にできるもの。*4会社側には「uniConnectサーバー(PBXとして動作)」が必要。

小野田君

BYODには、まだ進化の余地があるようですが、スマホの爆発的な普及は、BYODも普及させていく感じがしますね。
スマホの普及台数は世界でも急増していて、2016年には37億4600万加入となり人口普及率では49%になるという予想が、シードプランニングからこの7月26日に発表したと聞きました。*5

Pパパ

そうだね。
もともとPCの世界では、BYODなどという言葉の無い時代から、私物を業務に活用することは、ほぼ確立していたよね。
シンクライアントのようにデータを私物PCには残さない方法が主体だがね。今回は、スマホやタブレットのBYODについて勉強したんだが、愛ちゃんわかったかね?

Iちゃん

えー、大体分かったわ。有難う。

小野田君

私も概ね理解しましたが、MDMについてあまり説明して頂けなかったので、次回はMDMについて少し教えて戴けませんか? それとPCのBYODについてももう少し聞きたいです。

Pパパ

いいとも。

*1
MDM: Master Data Management(マスターデータ管理)を意味するMDMとは異なる。
*2
フューチャーフォン:(feature phone)は、携帯電話の端末のうち、一定の機能を有する端末に対する通称。明確な定義は存在しないが、一般によく使われるのは、基本的な機能のみのベーシックフォンでもなく、比較的高機能の端末ではあるが、スマホでもないものを指すことが多い。
*3
オンプレミス: 企業の業務システムなどで、自社で用意した設備でソフトウェアなどを導入・利用すること。自社運用のことでクラウドと対比される。
*4
uniConnect: この仕組みのポイントは、スマホから社内のサーバーにコールバックを指示するのに、パケット網を使うことで、スマホから私物でもパケット定額に入っている前提で、それを利用してコストをかけないようにしている点である。また、この方法では、1回の通話で2つの接続を行うので、コールバック通話を定額にするサービスを活用する必要が生まれる。
*5
人口普及率: 2016年の諸外国に数値は、アメリカが100%に達し、他の先進国では、イギリスが92%、ドイツ・フランスが78%、日本は70%を超えるとしている。

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