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IちゃんとP(パパ)小野田君の会話が続きます。

イラスト

Iちゃん

パパ、今日は 「テーマ」が決まっていなかったわよね。

Pパパ

うん、前回終わる時に分っていたが、忘れた振りをしていたんだ。

Iちゃん

まぁ、いやらしい(笑)。
何か「テーマ」を決めていたの?

Pパパ

そうだ、わが国は高齢者社会になったので、その切り口から「IT見守りサービス」の話をしようと思っていたのさ。

Iちゃん

へぇー。それって初めて聞いたわ。小野田君は?

小野田君

僕も初めてです。不勉強だな。

Pパパ

図1 独居高齢者の数
独居高齢者の数
2010年5月20日に
全国の独居高齢者数は、
前年比6.4%増の463万
1000人になった。

実は、私も去年の秋に「読売新聞」で紹介されていたので知ったんだよ。(注1)
いま、独居高齢者が増えていて社会問題になっているね。

少し調べてみたんだ。
65歳以上のみの高齢者世帯数が前年比4.0%増の 962万3000世帯と過去最高を記録し、全世帯に占 める割合が20.0%と初めて2割台となったことが、 2010年5月20日に厚生労働省が発表した「2009年 国民生活基礎調査」で分かったんだそうだ。

独居高齢者が同6.4%増の463万1000人に増加した ことなどが影響したと報告されているんだよ。

Iちゃん

そうね。「歳月人を待たず」で誰でも年をとるんだけど現実を知らされると何ともいえない気持ちになるわ。

Pパパ

その独居や、日中だけ独りとなる高齢者が増える中、IT機器を活用した「見守りサービス」が注目されているんだ。

小野田君

それって、簡単に言うと、どんなシステムですか?

Pパパ

テレビなどの家電品にセンサーを取り付け、使用時間を把握して、安否を気にかける家族などに電子メールで伝える仕組みなんだ。
色々事例があるが、それを説明するのに、図2を用意したよ。 これは読売新聞に紹介された事例だがね。(注2) 

図2 IT見守りサービスのシステム事例
IT見守りサービスのシステム事例

出典・引用:読売新聞(2011年10月13日朝刊)を参考に作成

Iちゃん

このシステムはどこが開発したの?
それに、どこで使われているの?

Pパパ

はっはっは。切り込んでくるね。
システムを開発したのは、山口県周南市の周南マリコム(堀信明社長)で、自治体(鹿児島県曾於市)でH23年5月から導入。1世帯月額で300円。9月末で高齢の155世帯に設置されて、毎日安否確認ができると好評なんだそうだ。

小野田君

個人宅では利用できないんですか?

Pパパ

この周南マリコムの「見守り姫」の個人契約の場合、費用負担は初期費用が21,000円の他に毎月4,725円で利用できるとのことだ。

小野田君

周南マリコムの他には、このようなシステム提供は無いんですか?

Pパパ

勿論あるよ。
いくつかの事例を調べてあるんだ。表1を見てくれないか。

表1 主なIT見守りサービス(周南マリコム以外)
提供元 内容
1 KDDI 「Mi-Look」 1.屋外でも見守りができる携帯電話の専用機種を発売。(詳細後述)
2.緊急ブザーやGPS、歩数計機能も付加。
3.利用者の足取りを確認できる。
2 NEC 「eみまもり」 1.家電のON/OFFに加え、冷蔵庫やトイレの扉の開閉状況 をセンサーで感知し、メールで送信できる。
2.利用者の生活行動リズムをコンピュータで解析し、普段利用が多い時間帯に使われていなければ異常と判断し、緊急メールを送る。
3 アイトシステム(注3)
「きずな」
1.徘徊が心配な方向け。介護保険を利用して1割の自己負担でレンタルできる見守り機器もある
2.徘徊監視システムは、玄関のドアなどに取付けた開閉センサーが作動すると携帯電話にメール送信する。

小野田君

いろいろありますね。
KDDIのシステムも興味深いですね。
少し、教えて下さい。

Pパパ

図3 専用携帯電話外観
専用携帯電話外観

図4 テレビで感知
テレビで感知

うん。専用の端末があるんだね。(図3)   
KDDIの「見守りの万歩計Mi-Look(ミルック)」は、次の3つのポイントがあるんだ。

  1. 京セラ製の専用携帯電話を使用する。
  2. テレビで感知する(図4)
  3. 地域の応援も得られる

1の専用携帯電話機の外観は、図3に示したが、

  • 日々の様子を教えてくれる (注4)
    →屋外センサー数計、家の中見守りセンサーが、日常の活動量や動きを登録した相手へ定期的にメール通知
    →電池残量をお知らせする機能もあり、離れて暮らす家族が日常をそっと見守ることができる。
  • いざというときも安心
    →もしものときストラップを引くだけの緊急ブザーを搭載。
    →鳴らしたことを、登録した相手に現在位置とともに知らせる。
    →現在位置と足取りがわかる機能や緊急地震速報 (注5)、防水にも対応。
  • 相手先を限定した通話機能
    →着信は登録した20件のみ/発信はあらかじめ登録した1件のみ (注5)に限定。着信自動応答とハンズフリー機能により受話操作を行わなくてもご家族から話しかけることができる。

といったところだ。

Iちゃん

パパ。流石に良く調べたわね。

Pパパ

愛ちゃんに言われたくないね。
続きの説明だが、(2)の「テレビで感知」とは、テレビにつけたセンサーで、使った時間が、一緒に暮らしている家族(娘や息子)の携帯電話にメールで届く。毎日午前8時と午後9時の2回の定時連絡の他、直近の利用から24時間以上センサーに反応が無かった場合 は、緊急メールが届くんだね。

Iちゃん

このようなサービスのニーズは「高齢化社会」になって、大きいんでしょうね。

Pパパ

そうだね。民間調査会社シード・ランニングによると「独居の親を持つ子供世代の68%」が見守りサービスの利用を検討したり、必要性を感じたりしているというんだよ。

最近のメディア情報によると、誰にも知られずに亡くなる「孤立死」が、改めて社会問題化していると言っているね。
最近相次いで問題になった事件に「老々介護」の家庭や障害者を抱える世帯など、社会との繋がりを失った家族が共倒れするケースだ。

都営住宅約26万戸で起きる単身者の孤立死は年400人以上だそうだ。
複数人が暮らす家庭での「孤立死」は「見守りシステムの盲点」とも言われている。
私たちも、「地域住民として"おせっかい"をやくこと」が、ある意味で「ITにたよらない有効な見守りサービス」になることを認識して、近隣の方々を見守る必要があると思うね。

小野田君

そうですね。見守りサービスのこと、私たちの意識の持ち方など、良く分りました。
有難うございました。

Iちゃん

パパ。次回は「スマートフォン」について、最近の動向や「スマホFMC」などについて話して欲しいわ。
本当は、聞きたがっているのは小野田君なんだけど、私からリクエストしてくれっていうんだ。お願い!

Pパパ

はっはっは。いいだろう。

(注1)
読売新聞記事:2011年10月23日の朝刊
(注2)
読売新聞の記事や図を引用公表することは、了解を得ている。
(注3)
アイトシステム:京都にある会社で、情報処理に関するソフトウエア及びハードウエアの研究・開発・販売を行っている。介護関連事業として、トイレドアまたは風呂場ドアをセンサーで監視、メールで自動的に警報を発信することのできる画期的システム、「きずな」の開発、ホームセキュリティ商品としてドア開放通報システム「ルスナイ」の開発も行っている。
(注4)
日々の様子:使用者の緊急事態や安否を確認するものではない。
(注5)
発信は1件のみ:110、119、118等への緊急通報は登録なしで可能。

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