IPよもやま話
IちゃんとP(パパ)小野田君の会話が続きます。
パパ、今日は「インターネットFAX」について 話してくれるんだったわよね。
そうだったね。
小野田君の頼みだったが、君の営業に関係するのかな?
そうなんです。
この勉強会で「IP-FAX」については勉強したんですが、インターネットFAXをあるお客様に提案するよう上司から指示を受けているんです。
そうか。
ならば、自分で勉強しなくては駄目だね。
今日は私が概要を教えて、宿題を出すから覚悟して聞くんだね。
それはいいわ。小野田君勉強しなくては駄目ね。
図1 インターネットFAXの種類
はっはっは、愛ちゃんに言われたくないよな。
前置きはこのくらいで、本題に入るよ。
先ず、インターネットFAXには大別して2つの種類があることから話そう。
1つは、キャリアが通信のサービスとして提供するインターネットFAXで、もう1つは、FAX自体がインターネット利用する機能を持っているものの2つだ。(図1)
2種類あることは良く分りました。
顧客提案には後者のものを勉強する必要がありますね。
でも、常識的に知っておく必要があるので、前者も教えてくれませんか。
君への宿題にしたいところだが、仕方がない。
話の順序として説明しよう。
でも、パパ!
インターネットFAXの市場はどうなっているの?
小野田君が売れるのかしら?
はっはっは。愛ちゃんは時々鋭い質問をするね。
複合機を含むFAX機器の市場規模(生産台数)は、ピーク時(1997年)861万台から2010年は26万台と、13年間で僅か3%に減少(注1)しているが、下げ止まっているんだ。
それにね、企業の「FAXに関するコスト削減」は低調で、約8割が「コスト削減策」に未着手の状況にあるといわれているんだ。
そうかぁ!
じゃあ、小野田君の提案は企業に受け入れられそうじゃないの!
そうだね。
話を戻すよ。
そもそも「インターネットFAX技術」はFAX画像を電子メールに添付して送受信するもので、1998年3月にIETF(注2)により標準規格(RFC 2159・RFC 2301)が勧告されたのがベースなんだ。
FAX端末同士でインターネットFAXを利用するには相手もネットに接続されたインターネットFAX対応端末である必要があるため、単体で購入して利用されることは殆ど無いんだよ。実際には、FAXしか持っていない人にパソコンからメールをFAXとして送信したり、FAXからメールを送ったりするインターネットFAXサービスの形で利用されることが多いのさ。
一概に「インターネットFAX」と呼ばれていても、システムやサービスによる違いが大きく、料金体系や機能、期待できるメリットも様々なので、単純に料金だけで選ぶのではなく、自分の用途、目的に一番適したものを選択、採用することが大切だから、小野田君の提案もその点が「注意事項」になるね。
主なキャリアのインターネットFAXには、(1)「efax(j2Global Japan)」、(2)「message+(アクセルコミュニケーションズ)」、(3)「BizFAXストレージ&リモート(NTTコム)」(注3)、(4)「ペーパーレス(KDDI)」、(5)「D-FAX(東京テレメッセージサービス)」等があるよ。
その中の一例を説明してくれませんか。
うん、それではNTTコムのインターネットFAXのBizFAX ストレージ&リモート」について説明しよう。その中身だが、図2が分かり易いだろう。よく見てくれないか。
図2 インターネットFAXのイメージ(NTTコムの「BizFAX ストレージ&リモート」の例)
出典:テレコミュニケーション(2011/11)から引用作成
「インターネットを利用して、FAXの送受信をPCや携帯電話上で行うことができるサービス」であることが良く分ります。
インターネットFAXのメリットを整理してくれませんか。
提案の参考にしたいのです。
図3 インターネットFAXのメリット
いいよ。本当は自分で勉強して欲しいところだが、愛ちゃんのボーイフレンドだから仕方ないな。(笑)
メリットは3つある。(図3)
先ず(1)の「コストメリット」だが、図4のように、劇的に安くなるよ。PC利用だから機器代、消耗品代は不要だし、通信経費も安いしね。
それはいいわね。
図4 コストメリット
<補足>
FAXにかかるコストは、電話回線の基本料、FAX送信時の電話代、FAX受信時の紙代、FAX機の費用があるが、インターネットFAXなら全ての項目でコストが削減できる。
(2)の「業務効率化」だが、次の4つがあるね。
などだ。
なるほど。
(3)の「セキュリティ機能」は、3つある。
といったところだ。
パパ。小野田君は感心しているけど、いま、私達が使っている「複合機」と比べてもメリットはあるのか教えて!
はっはっは。愛ちゃん手厳しい質問をするね。
その比較を表1にしたから見てごらん。
表1 インターネットFAXサービスと複合機の比較
項目 | 複合機(MFP) | BizFAXストレージ&リモート | KDDIペーパーレス |
---|---|---|---|
固定費 | 2625円/月(FAX用回線)(一般加入電話、事務用3級局の場合) | 1050円/月 (初期費用:1050円)(*1) |
997.5円/月 |
FAX送信料 | 横浜→東京:3分で31.5円 横浜→大阪:3分で84円 |
全国一律 3分8.4円 |
全国一律 3分8.4円 |
使用する機器 | 複合機またはFAX機 | PCまたは携帯電話(*2) | PC(携帯は不可)(*2) |
FAX用紙 | 必要 | 不要 | 不要 |
受信FAXの管理 | FAX用紙 | データ | データ |
インターネットFAX機能 | 最近の複合機には搭載 | インターネットFAXのキャリアサービス | |
相手のFAX | インターネットFAX対応機 | G3標準機で可(キャリアのFAXサーバーで電話回線に送信) |
出典:テレコミュニケーション(2011/10)に加筆作成
分りました。
私は、インターネット機能搭載の複合機を提案したいと思っていましたが、このキャリアのインターネットFAXサービスも、FAX機器とセット販売すれば、FAX単体も売れますね。 (注4)
流石に気付いたね。
今日は、時間の関係でここまでだが、次回は「インターネット(機能付)FAX」の説明をするから営業を頑張ってくれ給え。
そのFAXを大口受注したディーラーもあるよ。
インターネットFAXの企業への普及率は、まだ1割にも満たないそうだから、提案すべき商材ということになるね。
今日は時間がきてしまったので、「FAX自体がインターネット利用する機能を持っているもの」については、次回にさせて貰うよ。
有難うございます。
小野田君、パパが宿題を出すのを忘れたよ。ラッキーね。(笑)
はっはっは。次回出すかもしれないよ。