IPよもやま話
IちゃんとP(パパ)小野田君の会話が続きます。
パパ、今日は「災害と電話について」の中の「加入電話」について話してくれるんだったわよね。
うんうん、そうだったが、「加入電話とは何か」説明できるかな?
図1 加入電話とは
<補足>
加入電話には
(1)アナログ
(2)INSネット64
(3)INSネット1500
の3つがある。
あら、私を馬鹿にしているわね。(笑)
「加入電話」とは、電話の設置を希望する契約者とNTTなどの電気通信事業者との契約によって敷設される電話回線のことです。(図1)
針金をつかう(有線式)加入電話は「アナログ」と「デジタルのISDN」の2つの方式があります。
それぞれ加入電話、総合デジタル通信サービスと言うのよね。後者は加入ISDNとも呼ぶこともあるけど・・・。
両方を「一般加入電話」と呼ぶこともあります。
いまは、加入数が減ってきて4000万を割り込んでいます。どうだ!立派な回答でしょう!
図2 発信規制
はっはっは。いやいや正解、正解。
では、早速「災害と加入電話」の話に移ろう。
先ず、今回の「東日本大震災」でも「固定電話も携帯電話も電話がかからない現象」が長く続いて問題になったが、その大きな原因は、設備の倒壊等で現地交換機の稼働停止もあるが、台風や地震など、災害が発生して電話の通話が混んでくると、気象や消防関係といった防災関係機関などの重要な電話連絡を確保するために、一般の通話が制限されるんだね。
これを「発信規制」というんだ。(図2)
ただし、前回勉強したように「青色、黄色の公衆電話」からは通話できるんだったね。
そのため、今回の震災のように、離れた家族や知人へ安否を知らせたり聞いたりする電話がなかなか通じたりしないことがあるんだ。
これは、交換機や電話回線にその処理能力を超える大量の通話が殺到するからだ。
これが困るんですよね。
こんなときでも、病院や行政など絶対かからないと困る相手に、かけられるような工夫はないんでしょうか?
ほほう。小野田君「いい質問ですねー」
災害時に電話の世界での工夫はいくつかあるんだよ。
等なんだが、今回のテーマは「固定電話」だから4と5は、後日に回そうね。
1の「災害時優先電話」(図3)って、災害になったときに優先的に使える電話ってことですよね。それっていいよね。私の家の電話もそうならないかな?
いやいやそれは無理なんだ。
このサービスは、災害時の援助、復旧や公共の秩序を維持するために、法律に基づいて「災害時優先電話」を提供されているんだよ。
そのために
図3 災害優先電話
などに限られているんだよ。愛ちゃんの家は無理だね。
しかも、災害時優先電話は発信のみ優先扱いとなり、着信については一般電話と同じなんだ。緊急時には発信用として使用することになるね。かかってきたら直ぐパンクしてしまい混乱するからだ。
したがって「電話番号も公表しない」ことになっているんだね。
それらの認められた機関は会社のPBXの外線にすることもできるんですか?
ほほう。「いい質問ですねー」
その通り、収容してもいいんだよ。
ただし、災害時(停電等)PBXが災害時優先電話に指定する際には、災害時優先電話の回線の直接捕捉が可能になるような設定が必要だよ。
小野田君、2回も点数稼いだわね。
じゃあ、パパ。今回の震災でも大活躍だったようだけど、2の「災害用伝言
ダイヤルサービス“171”」について、説明してくれないかな。
うんうん、いい進行の仕方だね。(笑)
図4 伝言ダイヤルとは
このサービスは、図4に示したが、被災地から外への電話は比較的かかり易いことを利用して“171”にダイヤル、音声案内に従って操作すると、伝言の録音、再生ができるんだ。
さしずめ全国に分散した巨大な留守番電話に伝言を記録するシステムだと思えばいい。
今度の大震災でもすごく利用されていたって聞いたけど?
うんうん、いい質問だ。
それがね、東日本大震災が発生した11日の夕方からNTT東日本が運用している「災害伝言ダイヤル(171)」の利用件数がたった10日後の21日までに300万件を超えたそうだ。
これまで最も多く利用されたケースは、2004年10月の新潟県中越地震で35万件強
だったから、被災地域の広さや被害の大きさから、一挙に10倍以上更新される可能性もありそうだと言われてるんだね。
KDDIや他の電話端末からも利用できるよ。(注1)
よく分かりました。
いざというとき私も使います。
では、3の「災害用ブロードバンド伝言板(web171)」についても教えてください。
はいはい。愛ちゃんが司会役になったね。(笑)
このサービスはね、インターネットを利用して被災地の方の安否確認を行う伝言板なんだ。
図5にそのイメージを示したが、今説明した「電話(音声)による「災害用伝言ダイヤル“171”」に加え、新たにブロードバンド時代にふさわしい伝言情報(テキスト、音声、画像)の登録・閲覧を可能とする「災害用ブロードバンド伝言板」システムがNTTから提供されることになったんだね。
災害時に「インターネット」は、利用されたようですね。
このサービスは、図5に示したが、災害等の発生時、被災地域(避難所等含む)の居住者がインターネットを経由して伝言板サイトにアクセスし、電話番号等(注2)をキーとして伝言情報(テキスト・音声・画像)の登録が可能なサービスなんだ。
登録された伝言情報は、電話番号等をキーとして全国(海外も含む)から閲覧、追加伝言登録が可能となるんだよ。
そうそう、このサービスは「携帯電話」や「IP電話」でも可能なんだ。
図5 災害用ブロードバンド伝言板(web171)
「パスワード」を利用すると、伝言を伝えたい人を限定することができるようですね。
そうそう。ただ、設定した「パスワード」は、伝言をしたい人に事前に伝える必要があるがね。
伝言を見たいときは、同じようにインターネットの「https://www.web171.jp/」にアクセスして、伝言を閲覧する電話番号を入力後「OK」ボタンをクリックする等の操作をして閲覧するんだよ。パスワードが登録してあれば、電話番号の他にパスワードも入力する必要があるがね。
Webってことは、ファイル添付(音声/静止画/動画)もできるんですよね?
ほほう、いい質問だねー!
そのとおりです。(笑)
誉められたから、最後にもう1つ質問します。
この伝言サービス(ダイヤルもWebも)は、いつもサービス提供されているわけじゃないですよね。
うんうん。大事な質問だね。
その通りで、2つとも大地震のほか、台風や集中豪雨などによる大規模な風水害発生時(自宅を離れ避難所に避難する状況になった場合)に開設されることが多いんだね。
災害発生に伴う実践運用がされている場合にはテレビやラジオのニュースで知らされるから分かるよ。
いろいろよく分かりました。
有難うございました。
次回もよろしくお願いします。
うんうん、次回は「携帯電話とPHSについて」話そう。
うわー、面白そう!