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Hitachi

IちゃんとP(パパ)小野田君の会話が続きます。

イラスト

Iちゃん

今日はパパから「光の道」の話が聞けるんだよね。


Pパパ

図1 「光の道」の主役
「光の道」の主役

そうだ。可愛い娘から宿題を貰ったからね。(笑)

Iちゃん

そもそも「光の道」って何のこと?

Pパパ

はいはい、初歩の初歩から話して上げよう。
「光の道」と聞いて何を思うかな?

Iちゃん

「光ファイバーケーブルの道」って思うけど、光ケーブルを敷くことだけじゃないよね?


Pパパ

そうそう、「光ケーブル」には間違い無いけど、「日本全国、全世帯に光ファイバーケーブル網を敷設し、国内のブロードバンド普及率を100% にするという構想なんだ。これは、総務省の主導のもと検討が進められているんだね。

光の道は、2009年に「原口ビジョン」が出て提案(注1)されたんだが、その後2010年3月に「2015年頃までに、既存の電話回線(メタル回線)を廃止して全ての世帯を100Mbps以上のブロードバンド網へ置換して、情報インフラの革新による経済的・社会的な長期成長を図ることを目的」としてスタートしたんだね。

小野田君

何か、ソフトバンクの孫社長から「大きな提案」がされている、とも聞きましたが・・・。


Pパパ

そうだね。
もともと前の総務大臣だった原口一博さんが提案されて、NTT東日本・西日本からアクセス回線部門を切り離して分社化するなどの提案についての議論・検討が進められているんだが、ソフトバンクの代表である孫正義さんは、「光の道」について積極的な姿勢を表明、新会社への出資などを提案しているんだ。
今は却下された形になっているが、このことは、ゆっくり解説することにしよう。

小野田君

原口大臣がとても積極的だったと聞いていますが?


Pパパ

そうだった。
元々は、2009年末に原口大臣が発表したICTと地域分野の成長戦略「原口ビジョン」にあるんだが、このときの目標は「2020年までにすべての世帯(4,900万世帯)でブロードバンドサービスの利用を実現」というものだったんだ。
ところが2010年3月に開催された総務省政務三役会議で原口大臣は、「2020年では遅すぎる」として、利用率100%達成の時期を2015年に前倒ししたんだね。加えてNTTの経営形態を含む「光の道」の整備方法について、総務省で開催しているICT政策に関する作業部会で早急に検討するよう指示したんだ。

小野田君

もともとの「光の道」の構想は、どんなものだったんですか?

Pパパ

図2 「光の道」構想の整備方法
xxxxx

ブロードバンドの利用率100%を目指すもので、その整備方法には2つがある。(図2)

(1)の「インフラの整備率の向上」は、「現在日本のブロードバンドの主力は、FTTH(注2)やケーブルインターネットなど下り数10Mビット/秒以上の超高速ブロードバンドへと移行していて、既に国内90%以上(91.6%)(注3)の世帯でFTTHをはじめとする超高速ブロードバンドが利用できる環境にあるんだが、離島や過疎地など、残り10%の世帯は超高速ブロードバンドのインフラが未整備のままなんだ。
そのために、(1)が必要なんだね。

(2)の「利用率の向上」は、いまは既に90%以上の世帯が超高速ブロードバンドを利用可能な状態にあるといったが、30%程度(33.4%)(注3)の加入に留まる状況の改善策なんだね。つまり利用率を30%から100%にするための方策ということになる。

小野田君

お父さん。その具体的な施策を説明してくれませんか。


Pパパ

いいとも。
(1)の「90%を100%にする」は、コストをかけさえすれば達成可能だ。NTTグループは「離島や山間部も含めて1.5兆円で整備率を100%%にできる」というんだ。
ただしこのような地域はビジネスとして成り立たない地域が殆どなんだね。このため作業部会では公的支援の必要性を指摘する声も上がっているんだよ。
現在も国の支援を受けた地方公共団体がインフラを設営し、民間事業者がサービスを運営する「公設民営方式」によるインフラ整備が進んでいるんだね。
この枠組みをさらに活用する考えだと聞いているよ。
(2)の「利用率の向上」は、難問だ。
利用が伸び悩んでいる理由を、「キラーアプリケーションがないこと、FTTHの料金が高止まりしていること」と説明する人もいる。利用を促すような規制の見直しや事業者間の競争環境の再整備による料金低下によって、利用率向上を促す考えを見せているのが最近の情勢だ。
これらを、分かり易く説明したのが図3だ。

図3 「光の道」構想(ブロードバンドの利用率100%を目指す)
「光の道」構想(ブロードバンドの利用率100%を目指す)

Iちゃん

パパ、言い出しっぺの「原口大臣」はもう代わられて、今は「片山さんが総務大臣」になったんでしょう?
方針や施策の変化は無いの?

Pパパ

ほほう!大臣が代わったことを認識していたか。感心、感心。
その通りで2010年の6月18日に「光の道構想が閣議決定」されたんだが、9月17日に菅政権発足に伴って「光の道」構想をリードしてきた原口総務大臣が退任され、新たに片山善博総務大臣が就任したんだね。
その後、11月から12月にかけて民主党情報通信議連が、「ソフトバンク」「NTT」「KDDI」「総務省」をヒヤリングしたんだ。

小野田君

そして、その後はどうなっているんですか?


Pパパ

11月22日にね、「ICTタスクフォース」(注4)が「光の道」実現に向けた骨子案を公表したんだ。
その内容は、

  • 設備競争に加えてサービス競争促進(線路基準の開放、1分岐貸し)
  • NTTのアクセス網と中継網のオープン化
  • NTTに「機能分離」を求める(NGNのオープン化等)
  • ソフトバンクの案は却下

と言うものだ。ここではこの中身は省略するが、ソフトバンク案却下の件(くだり)は、  次回以降に話をするね。

そして、政治の動きは、12月14日に「政策決定プラットフォーム」(注5)で「光の道」基本方針を決定。取り纏めに実施時期を加える」ことになったんだよ。

小野田君

タスクフォースとか言うのは「総務省」なんですよね?
最後は「総務省ペース」になったってことですか?

Pパパ

そうそう。最後は総務省ペースになったんだ。
11月22日のICTタスクフォース話はしたが、その内容はこれまで総務省が積み残してきた課題の総纏めといってもいいものなんだ。
そして12月14日の、政策決定プラットフォームでは、ICTタスクフォースの骨子をベースに、実施時期などを政治主導で示したに留まった、殆ど名用変更は無かったんだよ。

小野田君

今後はどのように動いていくのでしょうか?


Pパパ

そうだね。どこまで普及が加速するかは、「光の道」基本方針を受けた今後の制度整備の議論や、更に通信事業者の動きにかかっていると言っていいだろう。
「光の道」について、概略は理解できただろうから、次回から少し中身や孫さんの提案や今年2011年のポイントなどを勉強していくとしようか。

: お願いします。


(注1)
提案:最初は2009年より開催されている「グローバル時代におけるICT政策に関す るタスクフォース」において提案された。2020年までに全ての世帯(100%)でブロードバンドを利用することがポイントだった。
(注2)
FTTH:Fiber To The Homeの略。家庭まで光ファイバーケーブルが敷設されること。
最近では、光ファイバーケーブルによる「サービスの総称」としても使われる。
(注3)
91.6%と33.4%:総務省調べ(2009年8月公表)から。
(注4)
ICTタスクフォース:総務省が「新たなICT政策について検討を行うため“グロ ーバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース”」を、平成21年10月に立ち上げた。
(注5)
政策決定プラットフォーム:「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」の各部会のとりまとめをし、政策を決定する。

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