IPよもやま話
IちゃんとP(パパ)小野田君の会話が続きます。
お父さん、今日は前回の話しの続きが聞けるのですね。
そうだったね。
IP電話とMOS値の話だったね。
ところで前回、このコラムで以前IP電話の音声品質やIP電話事業者のクラス分けの話をしたが、(第11回と第46回)読んだかい?
図1 R値とは?
はい、勿論読みました。
IP電話事業者のクラス分けがあって、その基準がR値(その他は遅延やトラヒックの基準がある)だってことは、理解しましたが、「R値」がどうやって決まるかは分かりませんでした。(図1)
そうだね。そのことは説明していなかったから、今回は、その辺から話すことにしよう。
「R値」とはね、Rating factorの略で「総合音声伝送品質」とも言われるんだ。
これには、図2のような面倒な計算式があり、この数値を総務省に提出しクラス分けが行われるんだよ。*1
そうなんだ。
私は遅延時間だけしか興味なかったけど、「R値」ってのが、あったんだ。
はっはっは。君は「良く覚えています」などと言ったけれど、中途半端に覚えていたんだね。
教え方が悪かったのね。(笑)
図2 R値の計算式
口の減らない子*2だね。(笑)
計算式は覚えなくてもいいよ。
この結果のR値によって、
(1)クラスAはR値が80より上
(2)クラスBはR値が70より上
(3)クラスCはR値が50より上
となっているんだね。
それは分かったわ。
でも、今日の本題の「MOS値」
とはどう関係するの?
そうそう、それはポイントを付いたいい質問だ。
「R値」は「MOS値」とも関連があるんだ。そのことを説明しよう。
それは「R値」の2つの利点を説明することで理解して貰えると思う。
その1つは、主観評価であるMOSと図3のように相関関係があることで、算出されたR値を見れば、どのくらいの音声品質なのかを直感的に把握できることだ。
もう一つは、IPネットワーク内で発生するパケットの遅延を評価に反映できることだね。
R値と同じ客観評価である PSQPerceptual Speech Quality Measure)や、その改良版であるPESQ(Perceptual Evaluation of Speech Quality)という評価法もあるんだが、これらは遅延を評価していないんだね。
音声がはっきり聞こえても、遅延が大きいと会話しづらくなる。
従って、正確な音声品質を示すためには、明瞭さだけでなく遅延も音質評価に反映する必要がある。この点「R値」は遅延も考慮されていることが利点になっているんだよ。
図3 IP電話の「R値」と「MOS値」の関係
図4 クラスCは通信に不安
そーですかぁ!よく分かりました。
私の頭の中を整理すると、「クラスAのR値が80より上」と言うことは、「MOS値では4(よい)より上」ということで、「クラスBのR値が70より上」ということは、「R値では3.5程度でまあまあ良いと良いの中間点から上」と言うことになり、音声もFAX通信も良好なのに対し、「クラスCのR値が2.5で、悪いとまあまあ良いの中間点から上」ということで、音声やFAX通信に不安があることが分かります。(図4)
いやいや、2回に渡ってよく勉強したので、こんどはキチンとお客様に説明できそうです。
有難うございました。
パパ、クラスAとかBとかの評価で、トラヒックの呼損率は皆同じで「0.15以下」になっているわよね。
このことも説明してほしいんだけど・・・。
はいはい。便乗質問のようだが、小野田君も説明して欲しいかね?
はい、トラヒックの話は弱いので、是非、お願いします。
分かった、次回は、「IP電話とトラヒックの話」をしよう。
クラスA | クラスB | クラスC | |
---|---|---|---|
総合音声品質(R値) | 80より上 | 70より上 | 50より上 |
エンド・ツー・エンドの遅延時間 | 100ms未満 | 150ms未満 | 400ms未満 |
呼損率(接続品質) | 0.15以下 | 0.15以下 | 0.15以下 |