IPよもやま話
IちゃんとP(パパ)小野田君の会話が続きます。
今日は前回の「IPv4アドレスとIPv6アドレス」の続きで「IPv6インターネット」の話だったね。
そうです!
IPv4アドレスが枯渇してしまうので、大変なことになる、そのためには「延命策」もあるが、早く「IPv6インターネット」を始めなければいけないってところまで、理解しています。
うんうん。
実は、2年後に無くなってしまうので、それまでに「IPv6インターネットサービス」を始めるのは、時間が少ないともいわれていて、実は悩ましい問題なんだね。
前回は、IPv4アドレスが無くなっても、慌てることは無いような話をしたが、実は対応に「時間と難問との戦い」があるんだよ。
世界中が一斉に「IPv6インターネット」に切り替えることはとても無理だしね。
前回「キャリア・グレードNATの話」はしたが、もう1つ大きな問題があるんだ。
「NGN」の勉強はしたよね。(注1)
これからは、「NGNの時代」になるんだが、そのNGN経由でISPに接続すると、ユーザー側の端末では、NGNとISPの両方から割当てられたIPアドレスを使い分け分けなければならないんだよ。これを「IPv6のマルチプレフィックス」というんだ。
えーっ!NGNには、そんな副作用があるんですか?
どうしたらいいんですか?
そのための対策は、ユーザー側に置く端末(ホームゲートウェイやPCのOS)に、アドレスを使い分けるしくみを持たせないといけないんだよ。
それって、簡単なことなの?
図1 IPv6への課題多
いやいや「ホームゲートウェイの開発やアップグレードに費用がかかる」「NGNでは、IPv6用のトンネル(注2)終端装置の開発や設置にコストがかかる」などの問題があるんだ。
では、前回勉強した「キャリア・グレードNATの延命策」で逃げればいいのではないですか?
そうなんだが、実は「実際の製品がまだ生まれていない」んだよ。
2011年前に完成させなくてはいけないし、そのための膨大なコストも大きな問題になてくるんだね。
最初から128ビットの「余裕を持ったアドレス」にしておかないからよね!
技術者の「見通しの甘さ」ですっ!
2000年問題(注3)と同じじゃないの!
いやいや、そのとおりだ。
しかし、Iちゃんが怒っても今となっては、対策するしかないね。
この「キャリア・グレードNAT」と「マルチプレフィックス」の2つの問題さえ解決すれば、障害は殆ど無いといっていいから、今後に期待するしかないと思う。
日本のキャリアやISPの動きはどうなっていますか?
図2 わが国の状況
KDDIが「現在シナリオを検討中」としていて「今年2008年内には計画を纏める」としている。
既に数年前から導入しているルーターは「IPv6」に対応済みなんだね。
IIJ(インターネットイニシアチブ)(注4)は、2009年初頭に「IPv6対応のスケジュール」を発表するそうだ。
NECビッグローブは、IPv6対応を前倒しし、2009年中に完了させるといっている。
そうですか。
だんだん「IPv6インターネット」が整備されていくんですね。
そうだね。
この問題は、今後、雑誌などを賑わすと思うから、注意してみることだね。