IPよもやま話
IちゃんとP(パパ)小野田君の会話が続きます。
今日は前回の「IPv4アドレスとIPv6アドレス」の続きだったね。
そうです! IPv4が2011年に無くなる見込みなので「延命策」が検討されていて、その後「IPv6」に移行して行くってところまで、理解したわ。
お父さん、2011年5月に無くなったら影響はすぐ出ますか?
新規割り当て用のIPv4アドレスの在庫が無くなっても、すぐに問題にはならないよ。
RIR(注1)には9ケ月〜1年半程度、日本のプロバイダも2ケ月〜1年程度の在庫があるんだよ。
それにね、過去無駄に割り当てたIPv4アドレスをICANN(注2)で回収して、再度割当てる案も検討されていて、これは1年分位あるんだ。
延命策には課題有
それで「IPv4延命策」が検討されているわけですね。
でも、何か課題があるって言っていましたね。
そうそう、その延命策が、「大型NATがプロバイダに登場する“キャリア・グレードNAT”」だと話したが、これにはいろいろ問題もあるんだよ。
人間だって「変な延命策」は、ただ「生きる状態」を続けるだけで、機能的にはいろいろ問題があるものね。
変な例えをするね。(笑)
キャリア・グレードNATは、企業ネットや家庭内ネットの中で使われているプライベート・アドレスの範囲をプロバイダのアクセス網まで広げることで、グローバルアドレスの数を節約するものでね、NATとしての基本動作は同じだ。
しかし、それには、いろいろ課題もあるんだね。
例えば、どんなことですか?
NATとしての基本機能は同じと言ったが、下記の3つの特徴的な機能も求められるんだよ。
(1)IP電話やオンライン・ゲームなどのP2P通信(注3)をなるべく通す「フルコーンNAT機能」(注4)
(2)NAT配下のユーザー同士の通信を折り返す「ヘアピン機能」
(3)通信記録を残す「ロギング機能」
なんだ。
これらの機能を細かく説明する時間がないが、なるべくユーザーに影響が少ないように考えて作られるが、ユーザーに1つずつグローバル・アドレスが割当てられないから、問題が発生するのは避けられないんだね。
具体的にはどんなことですか?
例えば、「インターネットで情報を公開するサーバーを持つ企業ネットや家庭内ネット」は、キャリア・グレードNATに収容できないんだ。
サーバーにグローバル・アドレスを割り振っておかないと、インターネットの他のPCからアクセスできなくなるからだね。
つまり、IPv4アドレスが枯渇しそうになっていても、グローバル・アドレスを割り振って貰わないと接続されないからだ。
また、IP電話やオンラインゲームといったP2P通信は、必ずSTUN(注5)に対応しなければいけないとか、ポート数に制限が起きそうなんだ。
例えば、Google Map(グーグルマップ)やiTunes(アイチューンズ)といったアプリケーションは、同時に数十から数百のポートを使って通信するので、放っておくと日常的にアクセスできない状態になる恐れもあるんだよ。
根本対策はIPv6
PBXの世界で言えば、トラヒックの輻輳で「回線全話中」になるようなものですね。
だったら、さっさと「IPv6」に切り替えればいいんじゃないの?
勿論そうだ。
IPv6インターネットを導入すれば、事は解決するんだが、それが、また、条件があってね。
インターネット側がIPv6になっても、端末(PC)側の問題もあるんだよ。
今日は、時間がきてしまったので、その「IPv6インターネット」の話は、次回にしよう。