IPよもやま話
I(愛)ちゃんとP(パパ)とO(小野田君)の会話が続きます。
今日は、まだまだ先だと思うけど「6G」の話をしてくれるんだったわよね。
5Gが始まったばかりなのに、もう6Gなの?
うんうん、6Gはね。
NTTドコモが世界に先駆けて構想を公表したんだ。
6Gの話に入る前に、携帯電話の歴史をおさらいしよう。
GはGeneration(世代)のGだから、6つ目の世代だわよね。
そうだ。
その世代交代が図1のように、不思議に10年ごとなんだね。
もう興味は無いだろうが、電話交換機(PBXなど)の世代変遷(*1)も10年単位だったんだ。不思議だね。図1と表1を見てごらん。
6Gが10年後の2030年って根拠があるの?
うん、前回まで勉強した次世代通信規格「5G」の先を見据えた動きが官民で活発化してきたんだ。NTTドコモは2020年1月22日に上空や空中でも高速通信が可能になる構想を打ち出したんだ(*2)。この構想を発展させ、2030年代の普及が想定される通信規格「6G」の開発で主導権を握る狙いがあったんだね。
政府も2020年1月に「6G」の開発に向けた有識者会議をスタートさせるそうだしね。ただ、韓国のサムスンやLGらが2028年の6G実用化を目指しているという話もあるし、競争になるね。
でも、日本が先行しても、各国の協力や方針の一致がないと、また「ガラケー(ガラパゴス携帯)」になっちゃうんじゃないの?
図1 携帯電話の世代変遷
(※)@ソニーモバイルコミュニケーション社製/ Aサムスン電子社製/Bシャープ社製
表1 通信規格をめぐる現状と将来のイメージ
出典:読売新聞朝刊(2020, 1, 22)に藤島が加筆
そうだね。
ドコモは発表した構想(*2)のなかで、6Gが導入されるであろう2030年代の社会や世界観について考察して、その世界観を実現するための技術発展のイメージを示しているんだ。
6Gで実現を目指す無線技術への要求条件も示していて、新しい要求条件も加わり、より多岐に広がっているよ。
また、新聞情報(*3)では、ドコモの考え方を次のように報じているね。
やはりね。
国内外のメーカーなどの協調が絶対必要だよね。
ドコモが目指す6Gは理論上、通信速度や同時接続できる通信機器の数が、2020年代の通信規格5Gの約10倍になるというんだが、日本は前回勉強したように、米国や韓国に後れをとっているんだね。
これも新聞情報(*3)だが、調査会社サイバー創研が2020年1月に公表した調査では、5Gに関連した重要な特許の出願数は、国内トップのドコモでも800件強。
1位の米半導体大手アルコムや、2位の中国通信機大手「華為技術」(ファーウェイ)の出願数は1600件に上り、大きく差をつけられているんだそうだ。
じゃあ、NTTドコモの思うようにならないんじゃないの?
図2 6Gは官民あげて
そうなんだ。そこで、こうした現状を踏まえ、政府は、10年後を見据えて支援策の検討に入るんだね。総務省は2020年1月27日、6Gを見据えた有識者会議「ビヨンド(Beyond=超)5G推進戦略懇談会」を発足させるんだよ。東大の五神(ごのかみ)真学長が座長 に就き、将来の通信規格に求められる要件や、必要な研究開発・技術を議論するのさ。産業界からも意見を聞き、今夏(2020年)の6月をめどに「第1次とりまとめ」を行い支援援策や戦略をまとめるんだ。
ドコモが目指す6Gは理論上、通信速度や同時接続できる通信機器の数が、2020年代の通信規格5Gの約10倍になるという。それは、理論的な通信容量の上限である「シャノン限界」(*5)を達成する値だそうだ。
通信速度を今までの携帯と比べてみよう。図3に分かりやすく示した。
図1に1Gから6Gまで書いてくれたけど、それぞれの速度を教えてくれないかな?
図3 3Gから6Gまでの通信速度比較
いいとも。
1G=Mbpsで表記できないくらい。すごく遅いね。
2G=これも表記できないくらい遅い。
3G=最大3Mbpsと少し遅い。
4G・LTE=最大100Mbpsと結構速い。
5G=10Gbpsと凄く速い。
6G=100Gbpsとめちゃ速い。(シャノン限界)
といったところだ。
速度だけでなく、6Gの通信性能をまとめると、図4のようになっているんだ。
図4 通信性能目標(ホワイトペーパー)
じゃあ、もうその6Gの技術は完成しているの?
いやいやこれから官民協力して確立していく段階だね。まだまだ実験段階で課題も多いんだよ。
例えば?
実用化に向けて課題となっているのが、高い周波数帯での超高速・大容量化へ向けた伝送距離の拡大だ。NTTでの実験では伝送距離は現状2m。少なくとも100m程度にしなければ、用途が限られてしまうんだ。
えーつ!技術的なハードルは高いんだ!
伝送距離の拡大に必要なのは、送受信素子の出力性能の向上だ。根本的な解決には、半導体技術そのものの進化が求められるんだね。このため、一定の時間が必要と思われるが、NTTドコモは2年ほどで100mの距離を確保したいと言っているね。(*6)
仮に半導体の技術が今のままでも、アンテナ技術や送信機を複数台組み合わせるなどの手法で達成したいそうだ。
他にありますか?
別の観点としては、使用周波数帯の人体に対する影響だ。5Gの当初は現行携帯電話と同じ周波数で、人体への影響は「現行のばく露限度以下では健康への影響は無い」といわれているが、今後数年以内に高い周波数に拡張される見込みだが、そうなると課題になってくるし、6Gも検討される必要があるという記事もあるね。(*7)
そうかぁ、課題もあるんだ。でも後10年後なら私は使えるわね。パパはどう?ダメかな?
馬鹿言うんじゃない!私だってたぶん現役で働いていると思うから使えるよ。
そうよね。これからの時代70歳まで働く社会だものね(笑。)
次回のテーマなんだけど、また、私からリクエストしてもいいかな。
何かな?
5Gや6Gが普及してくると、どんな使われ方をするのか興味が出てくるな。
「列車の自動運転」とかの話を聞いたけど、どんな状態なのか教えて欲しいんだけど・・・・。
うん、今回の「6G」と同じく少し未来の話だね。それではこのテーマは小野田君が調べて次回報告してくれないか。
久し振りだから頑張ってくれ給え。
分かりました。