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Hitachi

I(愛)ちゃんとP(パパ)とO(小野田君)の会話が続きます。

イラスト

Iちゃん

今日は「ローカル5G」について、少し深く学ぶことと、「5G」を含めた最近の動きを教えてくれるんだったわね。

Pパパ

そうだ。

Iちゃん

前回「ローカル5G」の勉強をしたけど、整理すると「地域や産業の個別のニーズに応じて地域の企業や自治体等の様々な主体が、自分の建物内や敷地の中でスポット的に柔軟に構築できる5Gのシステム」ということだったわよね。

Pパパ

ほほう、凄いね。良く纏めたね。

小野田君

キャリア(携帯電話事業者)の5Gと比べると
1)キャリアによるエリア展開が遅れる地域に5Gを先行して構築できること。
2)使用用途に応じて必要となる性能を柔軟に設定できること。
3)他の場所の通信障害や災害などの影響を受けがたいこと。
があると思います。

Pパパ

ほほう、小野田君も勉強してきたね。

Pパパ

前回勉強したように、今年はオリンピックの年だったが、長いこと“次世代”移動体通信技術とされてきた5G の事業者による商用サービスが国内で始まったね。
オリンピックは新型コロナウィルスのことで1年延びてしまったがね。
日本国内の5Gサービスは全国で一斉にスタートというわけではなく段階的なスタートになるんだが、2020年3月から都市部を中心とした一部のエリアでサービスが開始されたね。
ソフトバンクでは2021年12月までに人口カバー率90%達成を目標としてインフラ整備を進めていく、としている。NTTドコモは3月25日からで、その対応エリアは、サービス開始当初は、オリンピック関連施設およびスタジアム、全国各地の主要ターミナル駅、商業施設、ドコモショップなど、全国150か所、500基地局というかなり限定されたスポットとして展開されるそうだ。

Iちゃん

えーと、後はauね。

Pパパ

うん、KDDI(au)は「au 5G」を3月26日にサービスを開始して、2年間は4Gと同額の5G向け料金4プランを発表したね。
それに、新たな通信キャリアとして参入する楽天モバイルも5Gの周波数が割り当てられていて、楽天自社回線による次世代モバイル通信「5G」のサービス開始時期を「2020年6月」だと発表しているんだ。

Iちゃん

そうなんだ。5Gのキャリアは4社ってことね。日本は世界から見たら進んでいる方かしら?

Pパパ

いやいや、世界全体で見れば、5Gの商用サービスは米国、韓国、中国などで日本に先駆けて始まっているんだ。だから、日本でのサービス開始は取り立てて早いものではないね。むしろ遅れていると言っていい。
エリクソン(Ericsson)が2019年11月に発行したモビリティレポートによると、世界では約50の事業者が5Gサービスを提供していて、加入契約数は1300万に達しているそうだ。このうち500万は5Gサービスの立ち上げで大きく先行した韓国なんだが、2019年10月末に5Gサービスを開始した中国は事前予約が1000万を数えているそうだ。
先日、新聞(*1)に5Gサービスの世界の状況が分かりやすく載っていたので、それを紹介すると表1のようになっている。

表1 5Gサービスを巡る世界の状況
表1 5Gサービスを巡る世界の状況
出典:読売新聞朝刊(2020年1月15日)
(藤島が一部加筆)

Iちゃん

この表は5Gの話だけど、「ローカル5G」は、世界では日本が進んでいるのかしら?

Pパパ

そうだ、ローカル5Gは、世界と比べても日本が先行しているようだ。(*2)

Iちゃん

日本では事業者によって提供される5Gサービスより先に、ローカル5Gサービスが始まるって前回勉強したけど、産業界はどうしてローカル5Gを採用するの?

Pパパ

いくつか理由がある。

① 通信キャリアによる5Gサービスの立ち上げは、より多くの既存ユーザーがいる都市部を中心に進むこと。
② 5Gの新たな用途となる産業が活用を求める場所は、都市部よりも地方であることの方が多い。(例えば、工場や農地は郊外にあるのが一般的)
③ その地方の活性化を並行して推進したい

といったところで、通信キャリアにとどまらないさまざまな事業主体が柔軟に5Gを利用できるように総務省が検討を進めていたのが「ローカル5G」なんだよ。

小野田君

IT企業などの「ローカル5Gの動き」はどうなんでしょうか?

Pパパ

うん、少し調べてある。表2だ。

表2 ローカル5Gの最近の業界の動き(カッコ内数字は発表月日)
表2 ローカル5Gの最近の業界の動き(カッコ内数字は発表月日)
(出典:ZDNet Japan 2019年12月31日の情報を藤島が表化し一部加筆)

Iちゃん

日立を含め、いろんな企業が取り組んでいるのね。

Pパパ

そうだね。
日立は、5Gについて「NTTドコモ、ファナック社と5Gを活用した製造現場の高度化に向け共同検討」を開始しているね。そして、その第一弾として、ファナックの本社工場(山梨県忍野村)および日立 大みか事業所(茨城県日立市)の製造現場で5Gの電波伝搬測定および伝送実験を開始し、工場およびプラントでの生産制御システムに必要な高信頼ネットワークにおける5G活用検証をするそうだ。

Pパパ

そうそうもう一つ解説。
ローカル5Gの地方の普及には光回線の普及が追いついていないこともあるんだよ。そのために、総務省は、新しい制度を検討しているんだ。

小野田君

それってどんなことですか?

Pパパ

総務省が、5Gの基盤となる光ファイバー回線を、全国でくまなく維持するために、携帯電話会社を通じてユーザーが広くコストを負担する新制度の導入を検討しているんだ。このことは、ローカル5Gから、Private-LTEとして自営BWA(2.5GHz)やsXGP(1.9GHz)(*3)でのモバイル自営網の構築につながるので今後注目されると思うね。

小野田君

その新制度の導入って、5Gに使われる電波は、LTEに比べて遠くまで届き難いので、基地局をたくさん設置する必要があるからなんですか?

Pパパ

そうそう、その通り。
基地局が接続する「光ファイバー回線網の整備・維持」も必要なんだね。
そのために光回線網維持のためのコストをユーザーが広く負担する制度の導入を検討していて、総額で年数十億円の交付金の費用は、光回線に接続する携帯電話会社や通信会社、ケーブルテレビなどが規模に応じて支出する計画なんだ。

小野田君

すると、そうした会社が負担するんですか?

Pパパ

いやいや、携帯電話会社は、緊急通報を含む固定電話回線網の維持のためにユーザーから徴収しているユニバーサルサービスと同様に、数円程度をユーザーから集めるんだね。
国も新制度では、山間部などで光回線を維持するための赤字分を補填する交付金を、総務省か業界団体に支払うんだよ。総務省は、2020年春に有識者会議を立ち上げ、2021年夏までに制度の案を固め、2022年の通常国会に電気通信事業法改正案を提出する計画だそうだ。

小野田君

5Gとローカル5Gの勉強をしましたが、ローカル5Gとの関連で「モバイル自営網」について少し掘り下げて欲しいと思うんです。
内容としては、次の2つです。

① Private-LTEとしての自営BWA(2.5GHz)
② sXGP(1.9GHz)でのモバイル自営網

Pパパ

うん、いい視点だね。
言い出しっぺの小野田君が、自分で勉強してこないか。次回頼むよ。

小野田君

えーっ、少し荷が重いけど、頑張ってみます。

*1
新聞記事:読売新聞(2020年1月15日朝刊)
*2
ローカル5Gは日本が先行:MONOist(2019.8.6)による。
*3
sXGP:XGPフォーラムが検討している、自営通信用向けの規格。sXGPという名前は“shared XGP”から来ている。内線PHSのPBXの更新にも関連するので、別途このコラムで解説する。

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