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I(愛)ちゃんとP(パパ)とO(小野田君)の会話が続きます。

イラスト

Iちゃん

今日は「ローカル5Gの話」でしたね。
「5G」のことは少し勉強したけど、ローカルとあるのは、PBXのようにプライベート(私設)てことなのかな?興味あるテーマですね。

Pパパ

そうだね。にわかに「ローカル5G」の話が盛り上がってきてね。
何と総務省が2019年の12月24日から申込の受付を始めたんだよ。
「ローカル5Gとは何か?」の話をする前に、この国の動きから説明しよう。

Iちゃん

国が「ローカル5G」の設置を認めるってことよね。

小野田君

図1 ローカル5G受付
図1 ローカル5G受付

そうだ。
総務省は次世代の通信規格5Gを小規模なエリアで活用する「ローカル5G」について、企業などが電波を利用するための申請を2019年12月24日から受け付けると12月17日に発表したんだね。
これによって高速・大容量の通信がものづくりや防災などで活用されることが期待されているんだ。

「ローカル5G」は5Gの通信網を建物の中など限られたエリアにはりめぐらせて活用するもので、企業や自治体、大学などに電波が割り当てられることになっているのさ。

小野田君

5Gそのもののサービスは、2020年の春にならないと開始されませんよね。
それなのに「ローカル5G」のサービスが先行するのはなぜですか?

Pパパ

図2 キャリアの5Gより先に
図2 キャリアの5Gより先に

うん、それはね、2020年春以降に携帯電話各社が順次サービスを始める5Gについては全国に整備されるまでに時間がかかるため、これとは別に電波を割り当てて、いち早く地域に導入を進めるねらいで、当面は、主に建物の中や敷地内での導入を許可するという考えなんだ。
ローカル5Gを活用するとね、モバイルキャリアのサービス提供が届かない場所でも、企業などは5Gのサービスを自分たちのために利用することができるようになるんだよ。

Iちゃん

国は何を期待しているの?

Pパパ

「ローカル5G」によって複数のロボットやカメラを使って生産効率を高めたり、異常を検知したりする「スマート工場」の実現や河川に設置したカメラから高精度の映像を送って防災に活用するなどさまざまな応用が期待されているんだよ。
発表に際して、高市総務大臣は17日の閣議のあとの記者会見で「地域の社会や経済を支える企業や自治体などに活用されて地域の活性化につながることを期待している」と言ってるんだ。

Iちゃん

どんな展開になるの?

Pパパ

そうだね。
総務省による審査が順調に進めば、2020年2月にも「ローカル5G」が実用化される と思うよ。

Iちゃん

最近の動きはわかったけど、「ローカル5G」そのものの説明をしてくれないかな?

Pパパ

そうだね。
簡単に言えば、今まで勉強してきた「携帯電話事業者が全国で提供しているいわゆる5G(第5世代移動通信システム)サービス」ではなくて、企業や自治体が設置する「自営の5G通信」のことだ。

小野田君

すると、公衆網とPBX(私設構内交換機)の様なイメージですか?
誕生したばかりの時代のLAN(ローカルエリアネットワーク)とWANのような違いかな?

Pパパ

うーん、似て非なるものかな。
PBXの場合は、外線に繋がらない「構内専用のPBX」と言ったところだが、この例えは、若い人には分らないだろうね。むしろLANの方がぴんとくるだろう。

Iちゃん

「ローカル5G」と「キャリアが提供する5G」の違いを教えてくれないかな?

Pパパ

図3 5Gとローカル5Gの違い
図3 5Gとローカル5Gの違い

そうだね。
「5G」を自営のネットワークとして運用するのが「ローカル5G」だ。これによって何が実現できるのかを知るには、ローカル5Gが利用する周波数帯の特性や、提供する事業者による違いを理解する必要があるね。
違いは、4つある。
1は、周波数の違いだ。
国内でローカル5Gへの割り当てを計画している周波数帯は、4.6GHz〜4.8GHzと28.2GHz〜29.1GHzだが、これらの帯域のうち現時点で利用可能なのは28.2GHz〜28.3GHzの100MHz幅だ。
28.2GHz〜28.3GHzは、「ミリ波」と呼ばれる周波数帯に属しているんだが、ミリ波はデータ伝送の大容量化が可能な一方、直進性が高く、遠くに電波が届きにくい特性があるんだね。遮蔽(しゃへい)物が電波の進む途中に存在すると、光のようにそこで電波が遮られてしまい、その先へは届きにくいのさ。
一方でキャリアへの割り当てが決定している3.6GHz〜4.1GHzや、将来的にローカル5Gで使用される可能性がある4.6GHz〜4.8GHzの周波数帯は、遮蔽物があったとしてもその先へ回り込んで広く電波が届く特性があるんだね。

Iちゃん

じゃあ、ローカル5Gは遮蔽物のあるところ例えば工場などでは使えないってことはないの?それって困らないのかな?

Pパパ

うん、素朴な質問だね。
それがね、企業にとって「セキュリティの観点で利用エリア以外に電波を漏らしたくない」というリクエストには答えられるからだ。

小野田君

でも、敷地内でどのように電波を到達させるかはアンテナの配置次第ですよね。だから、なるべく死角がないようにアンテナの設置位置を工夫する必要がありますね。

Pパパ

その通り。
2番目は、「事業者が提供する5Gのエリアは、そのキャリアが設置した投資に見合うエリアに限られると思うが、ローカル5Gはユーザー自身でエリアを決められるAの「自前=自営」ということだ。

小野田君

そうすると「ローカル5G」は、システムインテグレーター(SIer)に委託してローカル5Gのネットワークを構築し、ユーザー企業が自らネットワークを運用すれば、キャリアへの利用料金の支払いは発生しないってことですか?

Pパパ

キャリアへの支払いは発生しないけれど、③の利用料金については、ローカル5Gの運用方法によっては、毎月のサービス料金が発生する可能性があるんだね。
どのようなベンダーがローカル5Gの市場に参入し、どのようにサービスを提供するかによるんだ。

Iちゃん

そうするといろいろなベンダーが参入する可能性があるってこと?

Pパパ

そうだね。
既に、NECや富士通、日立国際電気とノキア連携、パナソニックやインターネットイニシアティブ(IIJ)といったベンダーもローカル5Gの事業参入に名乗りを上げているね。これがCの「ベンダーの参入自由」ということだ。

Iちゃん

ローカル5Gが総務省で申請の受付が始まったことや、キャリアの提供する5Gとの違いなどはわかったけど、肝心の「ローカル5G」そのもののことが分らないわ!

Pパパ

そうだったね。
では先ず「ローカル5Gとは?」について言うよ。
「ローカル5Gとは、地域ニーズや個別ニーズに応じて様々な主体が利用可能な第5世代移動通信システム」ということで、その導入目的や役割は「携帯電話事業者による全国サービス提供に加え、地域ニーズや産業分野の個別ニーズに応じて、様々な主体が柔軟に構築/利用可能な第五世代移動通信システム(ローカル5G)を導入し、5Gの地域での利用促進を図る」ということなんだ。

小野田君

つまり、ローカル5Gは「5G」を利用して、地域において「ローカルニーズ」に基づく比較的小規模な通信環境を作るってことですよね。

Pパパ

そうだ。そして、無線局免許を自ら取得することも、免許取得した他者のシステムを利用することも可能なんだよ。

Iちゃん

うーん、何となくわかったけど、もっとはっきりイメージが湧くような説明をしてくれないかな?

Pパパ

そうだね。ローカル5Gは、28.2GHz〜28.3GHzを利用するんだが、『所有者利用等』及び『他者土地利用』を免許主体の範囲として整理する必要について、『所有者利用等』及び『他者土地利用』の利用イメージは、図4のようにまとめることができるんだよ。

Iちゃん

うーん、免許は建物や土地を利用エリアとして、その建物や土地の所有者や委託された事業者などに交付されるんだ。その土地の条件とローカルの意味がわかったけど、もっとローカル5Gそのものや最近の動きを知りたいな。

図4 ローカル5G(「所有者利用等」及び「他者土地利用」)の利用イメージ
図4 ローカル5G(「所有者利用等」及び「他者土地利用」)の利用イメージ
出典・引用:総務省資料を元に藤島作成(*1)

Pパパ

うんうん、今日はもう時間だから次回にしよう。
愛ちゃんが理解したように、免許は「場所の権利者」に付与されるんだが、「無線局免許を自ら取得することも、免許を取得した他社のシステムを利用することもできる」としているから、自営網としての利用だけでなく、通信事業者やSIerなどが免許を取得し、ローカル5Gサービスを提供することも許容されているんだ。
「所有者」から委任や同意を受けた者も、その範囲で免許を取得できるとしたんだね。これによって、通信事業者/SIerなどによるローカル5Gサービスの提供が可能になる。ローカル5Gのシステム構築/運営支援は今後大きなビジネスに育ちそうだね。

じゃあこれから先は、次回だね。

Iちゃん

了解です!

*1
引用した図の資料の出所は「ローカル5Gの概要について」(2019年9月11日 総務省総合通信基盤局 電波部)」から引用した。

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