IPよもやま話
I(愛)ちゃんとP(パパ)とO(小野田君)の会話が続きます。
今日は「ワイヤレス充電(給電)の話」だったわよね。
パパがやってくれるんだっけ?
そうだね。
愛ちゃん、「ワイヤレス給電」といえば、どんなイメージが湧くかな?
そうよね。
「ワイヤレスで電気を送れる」ってことでしょ。
確か、私のお友達が使っている「電動歯ブラシ」がそうだったと思うし、最近はスマホで「おくだけ充電」という機能があるわよね。
「ワイヤレス給電」と「ワイヤレス充電」て同じことでしょ?
意外と最近の情報を持ち合わせているね。
そう、そのとおり「ワイヤレス充電とは電源ケーブルがなくても電気を供給すること」をさしていて、「ワイヤレス給電」ともいうんだね。
ドコモの「おくだけ充電」は「ワイヤレス給電(充電)」のイメージが湧き易いと思うので、少し説明しよう。スマホを充電台の上に置くだけで充電できるという仕組みだが、ドコモでは、各企業と提携して、ワイヤレスチャージャーを空港ラウンジや映画館、ホテル、飲食店など生活に密着した様々な場所で利用できるように設置拡大し、「おくだけ充電」を推進しているんだ。
そうよね。
私のスマホ充電は、ドコモショップで買った「充電アダプタ」でやっているわ。
図1 従来の充電方式
そうだね。
今までのやり方は、図1のように「アダプタ充電」や「USB充電」だね。
それが「おくだけ給電」、つまり「ワイヤレス充電」は、図2のように置くだけでいいんだよ。
図2 ワイヤレス(おくだけ)充電
そうよね。
①のアダプタ充電も、②のUSB充電もケーブルが必要でした。
それが③だと、無線よね。ワイヤレスよね。
そうだね。
コネクタも要らないから、機器の防水性や信頼性が向上して、コネクタ不良もなくなるね。
デザイン重視の製品設計も可能になりますね。
外出先で「ワイヤレス充電」ができるようになると、充電アダプタやケーブルの持ち歩きも要らなくなりますね。
うーん。
何かいいこと(メリット)ばかりの気がするけど、悪いこと(デメリット)は無いの?
何事にも、メリットとデメリットはあるものさ。
デメリットは3つあるかな。
先ず①は、現時点で製品化されているものは、正確には「非接点給電」ともいうべきもので、送電側と受電側の距離は数mmの距離内で、前後左右の位置合わせも制約が多いこと。
次ぎに②としては、伝送できる電力量が、ケーブル接続に比べて少ないことだ。
そして③は、急速充電性能が不十分で、普及がなかなか進まない、といったところだね。
メリットもデメリットも分った気がするけど、そもそもどうしてワイヤレスで充電できるの?
そうそう、そのことを説明しないといけなかったね。
これを可能にしたのは、中学校で習った「ファラデーの電磁誘導法則」なんだよ。
小野田君、愛ちゃん覚えているかな?
いいえ。忘れました。
仕方ないね。
かく言う私も説明しきれないが、簡単に言うと「充分に近づけた一対のコイルを用意し、一方のコイル(送電側)に電力を与えて磁界を発生させ、もう一方のコイル(受電側)がその磁界を受けて電力を発生し、無接点で電力が伝送される」ということなんだ。
その説明では、わかりません。もっと、分り易く説明して!
図3 ワイヤレス充電のしくみ
出典・引用:「NAVERまとめ」を参考に藤島作成
そうか、では図3で説明しよう。
充電器に内蔵された送電側コイルと携帯電話に内蔵された受電側コイルとの「電磁誘導」によって、電力が伝送されるんだよ。
電磁誘導って?
電磁誘導とはね、電流を流した磁石に変化したコイルと、もう一つのコイルを近づけると電流が流れる現象のことです。
わかりました。
でも、デメリットの説明の「前後左右の位置合わせの制約」は、大丈夫なの?
鋭い質問をするね。
NTTドコモではね、2つのコイルの位置をぴったり合わせるために、WPC規格(*1)の中からムービング・コイル方式を採用しているので、自動で位置合わせができるようにしたんだね。この規格をQi(チー)って言うんだよ。(*2)
では、このワイヤレス充電(給電)の現状、つまり応用製品などと、これからどう展開していくか、未来予想をしてくれない?
大きな質問をしてきたね。
非接触給電のメリットは、水や汗に触れやすい腕時計型の情報端末、活動量計などのウェアラブル機器などにも有効で、採用する製品が増えつつあるんだ。
話を続けるよ。
未来の話をすると、もっともっと夢が広がるよ。
充分な量の電力を、数メートル以上も離れた場所から安全に「ワイヤレス給電できる技術」が実用化されたら、私たちの暮らしは大きく変化することになる。
例えば、「磁気共鳴方式」(*3)では、1m離れた場所でも実用的な効率で電力伝送が可能になると言われてるんだ。
えーっ!
そしたら、スマホやウェアラブル端末にとって有り難いわね。
そうだよ。
給電設備が充実したら、スマホなどは、自宅、オフィス、喫茶店、移動する電車やバス、エレベーターの中などで、絶え間なく充電が出来て、バッテリーの残量など気にしないで済む、なんて時代になるね。
そんなに「常に充電が行える」ようになると、スマホに内蔵する電池も小さくなりますね。端末が小さく軽くなるようになりますね。
わぁー、超薄型軽量のスマホになるかもね。
家のテレビもコンセントに繋ぐ必要が無くなれば、どこでも置けるし移動も楽になるわね。
図4 道路でも充電
将来は、「車の走行中」でも充電が可能になるかも。
車だって、今の電気自動車は走行距離がネックと言われますが、道路からのワイヤレス給電が可能になれば、高速道路などでも充電できて嬉しいですね。
本当!
「ワイヤレス給電」って、夢は広がるわね。
今回は、面白かったわ。
次回のテーマだけど、電池の話が出たけど、「全固体電池」というのがあるそうね。そのこと教えて!
うん、「全」というところに意味があるんだが、次は小野田君担当してくれないかな。
分りました。
よく勉強して報告します。