IPよもやま話
I(愛)ちゃんとP(パパ)とO(小野田君)の会話が続きます。
今日は前回の続きで「LPWA(Low Power Wide Area)」の話よね。
小野田君、私に分るようにお話してね。
はい。頑張ります。
では、LPWAのおさらいと整理をします。
LPWAとは、
上記の3つに整理できると思います。
いろんな規格があるみたいだけど、パパが前回言ったのは、今言われた中の「SIGFOXやLoRaWAN」だったけど、パパ、どうしてこの2つだけ言ったの?
そうだね、いろんな種類があるがこの2つが有名だからさ。
小野田君LPWAの種類について説明してくれないか?
分りました。
表1を見て下さい。
表1 日本で導入済み、導入が見込まれている主なLPWA規格概要
出典:テレコミュニケーション(2016年12月号)
種類が色々あることだけは分ったわ。
無線通信の規格はLPWAの他にいろいろあるんでしょ。それと同違うの?
図1 LPWAの通信距離
そうですね。
無線通信規格にはさまざまな種類がありますね。無線LAN(いわゆるWi-Fi)や、Bluetooth、Bluetooth Low Energy(Bluetooth 4.0に統合)、ZigBee、IrDA、RFIDといったように多くの規格がありますが、LPWAはそれらよりも広い範囲をカバーするんですね。
携帯電話会社が、従来の無線と違ってIoTがLPWAに適しているので、新しいサービスを提供し始めたと表1にもあるけど、そのところを説明してくれない?
はい、分りました。ざっくり携帯電話3社の動きを整理したのが、図2です。
図2 携帯電話3社のLPWAサービスの状況
出典:各社のプレスリリース等
そうなんだ。
携帯電話3社もお客様ニーズに合わせたLPWAネットワークの構築方法や運用ノウハウを得ることで、法人のお客様が便利で効率的なビジネスの展開と、データ活用することで新たなIoTサービスの創出に役立てるように考えているのね。
ほほう、愛ちゃんの分析、洞察力は進化したね。
その通り、今年は各社が本格的なサービス提供の準備(実証実験など)をする年になるだろう。
LPWAがIoTに適している理由を整理してくれますか?
そうですね、分り易く言うと「電池1個で1年以上通信できる"低消費電力IoT通信技術」ということが1番目ですね。しかも「数kmの長距離通信が可能」ということでしょうね。
そうね。スマホは持っても「丸一日」くらいだから1年と云うのは凄いわよね。
でも、通信距離の数kmって曖昧ね。
具体的に教えて!
長距離通信は規格によっても異なるんですが、携帯電話のLTE通信の通信可能距離が6km程度なのに対し、LPWAは理論上、1kmから最大50kmまで可能になるといわれています。LPWAの通信可能距離がいかに長いかがわかるでしょう。
2番目は「低通信コスト」です。
扱うデータ量が少ないので、低料金で利用できるんですね。
それはIoTにとって本格普及するための必須条件のようなものね。
いいこと尽くめのようだけど問題点は無いの?
うーん、何だろう・・・。
図3 LPWAは
それは、2つあるように思う。
1つは、表1にあったように「規格がいっぱいあること」だ。
日本に導入されそうな規格だけでも5つある。有力なのは「SIGFOXやLoRaWAN」だろうと思うが・・・・。
2つ目は?
移動中の通信や、遮蔽物のある場合の通信だろうね。
前回のIoTマンホールでは、鉄製の蓋があるのに1km超飛んだけど、樹木の多い森や林、ビル街などの都会での明瞭な通信が出来るかだろうね。
しかし、図3にあるように「鈍足だが長距離ランナー」のハイテク技術は、これからのIoT時代の通信技術としてますます注目されていくだろうね。
小野田君、良く勉強してきたね。
さらに聞くけど、海外の事例なども調べたかな?
はい。表1にも少し書きましたが、LoRaWANについて、調べました。LoRaWANは世界で500以上の企業・団体が加盟している業界団体の「LoRaアライアンス」が策定しているオープンな規格です。フランスとオランダとベルギーなども事例があるようです。
新しい動きもあるようだね。
英Weightless SIGが策定した新しいLPWA規格「Weightless-P」の日本での展開が本格化するようだよ。
LoRaWANを凌駕する下り最大100kbpsの通信速度を武器に、工場などへの導入を目指す動きだ。
そして、もっと凄い話もある。
インドでLoRaWANを使った大規模ネットワークの構築が進んでいるんだ。インドの通信キャリアであるタタ・コミュニケーションズ(タタ)とヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)が共同で複数都市をスマートシティ(*1)化するんだ。カバー範囲はなんと、4億人にも及ぶ大規模プロジェクトで、今年2月両者は共同で、LPWA(Low Power Wide Area)技術の1つであるLoRaWANによる世界最大規模のネットワークを構築すると発表したんだね。インド国内の複数都市をカバーする大規模プロジェクトであり、第1段階として人口の約3分の1に当たる4億人をカバーする壮大な計画だ。
凄いですね。
LPWAは発展途上の規格で応用はどんどん拡大すると思うね。
また、勉強する機会を作ろう。
パパ、次回取り上げて欲しいテーマがあります。
「コネクテッドカー」と云う用語を聞いたことがあるんです。
少し前のテレビのニュース(*2)だったけど、殆ど内容は覚えていないんです。
これ、教えて欲しいんだけど・・・・・。
そうか、では小野田君頼むよ。
えーっ、また、私ですか?
はい、分りました。私は「車好き人間」なのでやります。