I(愛)ちゃんとP(パパ)とO(小野田君)の会話が続きます。
今日は「IoTを活用したマンホール監視」と「LPWA(Low Power Wide Area)」の話ってことだけど、何のことかさっぱりわかりません。よろしくお願いします。
はっはっは。
小野田君よろしく頼むよ。
なんか自信がないんですが、調べてきたことを報告します。
最初に「IoTを活用したマンホール監視の話」をします。
えーっ、マンホールがIoT化されて何か効果があるの?
それがあるんです。
IoTを活用したマンホール監視は、「(株)日立システムズ」と「(株)トミス」と「(株)イートラスト」の3社が共同開発で進められました。目的は「マンホール内に危険物を設置されることや設備点検の作業員を事故から守るため、蓋の開閉状態や、有毒ガスの発生有無、水質・水量などの状態をセンサーやIoT技術を活用して監視し、マンホールの防犯・安全対策をトータルにサポートすること」だったんです。
新潟市と新潟市水道局の協力の下、実証実験も行っているようです。
各社の役割は?
そうですね、3社と市の役割は次のようになっています。
① (株)日立システムズ:全体取りまとめ
② (株)トミス:マンホールへの機器取りつけ作業
③ (株)イートラスト:LPWA通信機器の提供、無線通信計測作業
④ 新潟市水道局および新潟市:実証実験フィールドの提供
マンホールとIoTって馴染まない気がするけど?
そうでしょうね。
このソリューションでは、マンホール内に危険物を設置されることや設備点検の作業員を事故から守るため、蓋の開閉状態や、有毒ガスの発生有無、水質・水量などの状態をセンサーやIoT技術を活用して監視し、マンホールの防犯・安全対策をトータルにサポートすることを目的としているんですね。
それで、LPWAとの関係はどうして生まれたのかな?
はい。
実証実験開始当初は、特定小電力無線を活用していましたが、マンホールの蓋を閉じた状態では通信距離に課題があったそうです。
実証実験を進めていく中で、この課題を解決する技術が求められていたところ、低消費電力で長距離通信を実現する無線通信技術であるLPWAに着目したんですね。
なるほど。それで?
そこで、今回、新潟市において、LPWAを活用し、新潟市秋葉区役所の屋上に受信機を、新潟市水道局の管理する水道用マンホールに発信機を取り付け、さまざまな障害物がある実際の市街地での通信試験を実施したんですね。
その結果、受信地点から1キロメートル以上離れたマンホールでも、無線通信による監視が可能であることが確認できたんですね。これによって、特定小電力無線の場合と比較し、通信距離だけでなく、導入や運用におけるコストを抑えた構成を実現できることが実証され、サービス実用化のめどがたったんだそうです。
実験のイメージが湧かないけど?
分り易い図があります。
図1を参照してください。
マンホールというのは、頑丈な鉄の蓋で被われていますよね。
それでも1km以上無線電波が飛ぶ(伝播する)ことが確認できたんですね。
それが、この実験の収穫といったところなのね。
そうですね。
LPWAそのものについては、今回詳しく報告できないので、今回は概要だけにして、少し深いところは次回にさせて頂きます。
図1 (株)日立システムズによるマンホールからのLPWAの無線伝播実験
出典・引用:テレコミュニケーション(2017年5月号)を引用して藤島作成
でも、図だけでは実際にどんな実験現場だったのかイメージが湧かないんだけど?
画像は無いの?
図2 新潟市での実証実験の様子
出典:(株)日立システムズ・(株)トミス・(株)イートラスト の
プレスリリース(2017年3月16日)
あります。(*1)
図2がそうです。
(株)日立システムズは、これからこれを事業にするのかしら?
そうですね。
(株)日立システムズなどは、マンホールの防犯・安全対策ソリューションの早期提供開始をめざすとともに、水道事業体での安全対策、設備保全などでの貢献をめざし、漏水や流量、水質などを含めた遠隔監視の実用化に向け、共同での実証実験に取り組んでいくそうです。
マンホールって全国至るところにあるし、その安全対策って大切だものね。
「眼のつけ所」がいいわね。
はっはっは。
愛ちゃんにほめられたか。
その通りで、全国にあるマンホールの数は下水道だけでも1000万基もあるそうだからね。(*2)小野田君、IoTを活用したマンホール監視の話はわかったけど、LPWAの話をしてくれないか。
分りました。
LPWAは、一言で言うと「IoT向けの"低出力広域デジタル無線規格"」です。
英文名では、「Low Power、Wide Area」の略で、その名の通り、少ない消費電力で、km単位の距離で通信できる無線通信技術の総称なんです。
なぜ、IoT向きなんですか?
機器のバッテリー消費を抑えながら、データを収拾する基地局まで電波を届けることができるということで、特にIoT向けなどに有用な技術であるということで注目を集めているんですね。
図3 LPWAとIoTは仲良し
私、よく分らないんだけど、携帯電話も無線通信技術よね。
それとはどう違うの?
ほほう、いい質問だ。
小野田君、答えられるかな?
はい、携帯電話会社もLPWAサービスを試みたり実施していくようです。
ただ、携帯電話などのモバイル通信技術の進化は、主に「高速化」と「大容量化」という方向で進んで来ました。
そうだね。
例えば「1つの基地局のエリアをより細かくする」とか、あるいは「より多くの周波数帯を使う」といった手法だね。
そうです。
でも、これから普及が期待される「IoTデバイス」では、これまでのトレンドとは異なる技術が必要なんだそうです。というのは、IoT機器は「1台1台あたりのデータ量は非常に小さく」て、また「電源のない場所でも働き続けることも想定される」んですね。つまり、大量のデータ通信は不要で、低消費電力の必要性があるんですね。
そうだ。
そしてコストを下げるためには、そうしたIoTデバイスにつながる基地局のような装置も少なくできた方が手軽でいいよね。
そうなんだ。
そんな理由で、IoTのためのネットワークとしては、これまでのトレンドとは逆の「低電力/広エリア」のデジタル無線規格が必要になってきたってわけね。
そうそう。理解が早いね。
「IoTを活用したマンホール監視」の話から「LPWA」の話をしてきましたが、ここからは少し長くなるので、携帯電話会社の取組みも含めて、次回にさせて頂きたいんですが・・・。
図4 IoTとLPWA
いいだろう。
LPWAも大きなキーワードになってきたから、次回じっくり勉強しよう。
いよいよIoT向けの無線ネットワークとしての「LPWA」の時代が来たんだね。
日本各地をLPWAの無線が飛び交って、SIGFOX(*3)やLoRaWAN(*4)などを活用した数々のIoTサービスが実証実験のレベルだが展開され始めているんだ。
次回の勉強会が楽しみだね。
はい、頑張ります。
携帯電話会社の取組みや、今、お父さんの言われたSIGFOXやLoRaWANなどについても報告します。