IPよもやま話
I(愛)ちゃんとP(パパ)とO(小野田君)の会話が続きます。
今日は「ブルーツース5(Bluetooth)」の話だったけど、「ブルーツース(Bluetooth)」って、不思議なことにこの勉強会で取り上げていなかったわよね?
そうだね。
もっと早く取り上げるべきだったが、最近IoTがらみで注目されているんで、ある意味タイムリーでもあるね。
不勉強ですみません、「ブルーツース(Bluetooth)」って何ですか?
そうか、知らなかったか。
ブルーツース(Bluetooth)は、日本では2000年頃普及し始めたんだが、その頃は10m程度飛ぶ近距離無線データ通信のことで、SOHO向けに低コストの短距離無線通信インターフェースとして用いられたんだ。「Bluetooth5」はそれがバージョンアップを重ねて5版になったということだね。
そして、いまは、スマホやPCのマウスやヘッドセットなどの周辺機器に広く使われるようになってきたのさ。
そう。
あまり面白そうじゃないわね。
はっはっは。
では、最初に面白い話をして上げよう。
ブルーツース(Bluetooth)とはね、デンマーク王のニックネームなんだよ。
えー!それは面白そうね。その話聞かせて!
直訳すれば「ブルーの歯」だよね。
図1 Bluetoothとは
Bluetoothとは、
デンマーク国王の名前で、
ノルウェーとデンマークを
平和に統合した国王の
ニックネーム歯が
悪く青かった?
(イラストは完全なイメージ)
そうだ。
歯が悪かったという説もあるね。
名前の由来は面白くてね。
西暦940年から981年に活躍したバイキングが最盛期の時代のデンマーク国王の名前で「ハーラル1世」なんだ。
「青歯王」の異名を持っていて、"Bluetooth"と記されるんだが、なぜその国王のニックネームなったかと言うと、彼はデンマークとノルウェーを無血統合した偉大な実績を持っていたんだが、Bluetooth生みの親のエリクソン(北欧の携帯電話機最大手メーカー)が、通信業界とパソコン業界などの他業界を円滑に統合する無線規格を目指したので、その名前にあやかったのだといわれているのさ。
そう。
その無線技術が「通信業界とパソコン業界」などを統合する「仲人役」をしたってことね。面白いネーミングだわ。
それに、この規格は日本発祥のOSの「トロン」(*1)と同じように知的所有権は無償で提供されるんだよ。
そうですか。凄いですね。
そのBluetoothがバーションが5になったのが「Bluetooth5」ってことですね?
そうなんだ。
バージョンアップってどんな歴史があったの?
そうだね。Bluetooth5は2016年の6月16日に発表になったんだが、分かり易い図があったので、引用しよう。図2だ。バージョンとそれがいつなのかと、その最大通信速度が良く分る図だろう。
良く分りますね。
この図から、Bluetooth5の特徴が読める気がします。
ほほう、どんなことが読めるかな?
通信距離が4倍になったんですね。
そうだね。それだけではないよ。
特長はまず総論として「外部電源無くても使える小型ノードを安価に作れる」という「IoT」にとって大きな魅力があるということだ。
図2 ブルーツース5(Bluetooth5)の進化
(注1)「EDR」:「Enhanced Data Rate」の略。通信速度を拡張のこと。
(注2)「HS」:「High Speed」の略。従来の4Mbpsから8倍程度の24Mbpsに向上した。
出典:テレコミュニケーション(16年9月)
そうなんだ。
各論としては、6つある。@は、小野田君の言った「通信距離が4倍」ということだ。
これを図5に示したよ。
Aは、BLE(省電力性)の特長の1つだが、運用条件によっては、小さなコイン型リチュウム電池1個で通信モジュールを1〜2年動作させることができる「省電力性能」だ。
図3 Bluetoothの特長
Bは、従来のバージョン(CBT)では必須だった「事前の接続確認(ペアリング)」無しで通信が可能。
Cは接続時間が従来のCBTでは100ms必要だったんだが、休止状態から6msという短い時間でOKなんだ。
Dは、あとで説明するが使われ方(用途)が多様になるということだ。BLE対応ではIoTを意識した機能の拡張があったということだね。
(1)IPv6によるインターネット接続サポート(BT4.1で)
(2)セキュリティ強化やアプリケーションスループットの向上(BT4.2で)
(3)BT5では、IoT対応の総仕上げとも言うべく
・物理層を含む仕様の見直し
・データレートの向上
・通信距離の拡大
があったということだ。
もう一つは何ですか?
うん、Eは「IoTを意識した機能拡張」だね。ここは強調したいところだ。
図4 強調したい点
具体的には何ですか?
図5 Bluetoothの通信距離
(注)100mw(Class1)運用時
出典:テレコミュニケーション(16年9月)
箇条書きで言えば
と言ったところだね。
わぁー!
何かこれからは「全てIoTがらみ」ってことー?
そうだね。
それほどIoTのインパクトは強いともいえるね。
Bluetooth5の用途には、どんなものが考えられますか?
主な例を表1に示したがもうあらゆるものに使われるね。とりわけBluetooth5になってからはIoT対応が増えてくるだろうね。
表1 Bluetoothの主な用途例
最後に一つ質問があります。
それは、無線LANと比較すると、どんなことが言えますか?
そうだね。一番の違いは「省電力性能の高さ」だろうね。さっきも言ったが、BLEの消費電力は送信時で5mwのため、ボタン電池1個で十分稼動するんだ。IoT向きだね。無線LANでは桁違いに大きな電力を必要とするからね。
私からも「便乗質問」があります。
「赤外線通信」とはどう違いますか?
はっはっは、携帯電話でアドレス帳の交換や画像などのデータ通信をしている「赤外線通信」との違いを聞きたいんだね。
赤外線通信の規格である「IrDA」と、「Bluetooth」はどちらも無線を利用して通信を行うんだが、ふたつの大きな違いは、赤外線通信の通信可能距離は最大1m程度なのに対して、 Bluetoothは機器間の距離が50m〜100m以内であれば、通信が可能な点だ。
また、Bluetoothは、音楽などの大容量データもやり取りすることができ、消費電力が低いのも特徴だね。
Bluetooth5について、良く分りました。
次回は、取り上げて欲しいテーマがあります。
この前、新聞で「デジタル教科書」って見出しがあったの。
中身を見過ごしたので、教えて欲しいんだけど・・・。
おやおや「見過ごしたミス」を、人様の力で取り返したいんだ。
仕方がない、不出来の娘、手抜きの愛ちゃんのために、やってやるよ。
有難う!