IPよもやま話
I(愛)ちゃんとP(パパ)とO(小野田君)の会話が続きます。
今日は、小野田君が「IoTについて調べた話」をしてくれるんだったわよね。
「その後のIoTの話」といえば、ソフトバンク社の外国企業の大型買収の話があるね。
えーっ、その話、IoTと関係するの?
そうだよ。
ソフトバンクグループが英ARM Holdings(ARM)社を買収することで、両社間で合意したと先ごろ(2016年7月18日)に発表されたね。買収額は約240億ポンド(約3兆3000億円)で、ARM社はソフトバンクグループの完全子会社となる。両社は、買収を2016年9月30日までに完了すると孫さんは見込んでいるようだ。
それで?
今回の買収についてソフトバンクグループ代表取締役社長の孫正義氏は「IoTがもたらす重要なチャンスをつかむことにある」とコメントしたんだ。同時に、「英国におけるARMの従業員数を少なくとも倍増させる」とも言っているんだよ。
ARM社は、最終製品を手掛けてはいないので一般的な知名度が高いわけではない。しかし、現在のスマートフォン向けのIC(アプリケーションプロセッサー)や組み込み機器向けのマイクロコントローラー(マイコン)のほとんどはARM社の中核回路(CPUコア)を基にしており、半導体メーカーは多額のライセンス料をARM社に支払っていると言われているんだよ。
孫さんの発言をピックアップすると「ARMは今から20年以内に約1兆個のチップ(IoTの)を地球上にばら撒くことになる」そして、「1兆個のチップから地球上の森羅万象のデータを吸い寄せられれば、そのデータでディープラーニングする超知性は、最も賢くなり、最もすばやく推論できるようになる」とまで言っているんだ。(*1)
そうなんだ。3兆円以上の投資をするほどIoTって大きなビジネスチャンスなのね。
そうです。
勉強会でそのIoTの勉強をしたので興味を持っていましたが、いくつか報告したいことがあるので、整理してきました。報告しますね。
その内容は大きく言って
の3点です。
図1 IoT調査の小野田君
ほほう、それはいいことだ。
愛ちゃんも聞いてばかりいないで勉強してほしいものだね。
このまえ、勉強会で成果報告したでしょ。
あーそうだったね。
これからも勉強して自発的に報告してくれよ。
わかりました。
小野田君、本題に入って!
はい、まず「IoTのしくみ」について勉強しました。
図2にその仕組みが分るように図にして来ました。
IoTは、今までのパソコンやスマホのように「直接ネットに接続できるもの」ではない「洗濯機や冷蔵庫、照明器具や傘などの「直接ネットに接続できないモノ」が繋がるようになるのですが、それには「ゲートウェイ(センサーなど内蔵)」が必要になります。
それは前回の勉強でも理解したわ。
センサーには、どんなものがあるの?
図2 IoTのしくみ
はい。
図2にも書きましたが、「画像センサ」「光センサ」「温度センサ」「湿度センサ」「磁気センサ」「加速度センサ」等々があります。
「デバイス」って「モノ」のことよね。
そうです。
文字通りIoTにとって重要な部分ですね。
デバイスの役目は「センシング」と「フィードバック」の2つです。
センシングって、自分の状態をシステムサーバーに送ることでしょ。
図のセンサーのことではないの?
鋭いですね。
センサーも含めて「デバイス」といいましたので、その通りで「センシング」とは「デバイス自身の状態に加えて周辺環境の状態の情報も収集して通知するしくみ」のことです。
このセンシングを実現するのが、愛ちゃんのいうとおりの電子部品の「センサー」の仕事です。
しくみの話は私でも理解できました。
2番目の話の「IoTの副作用」って何のこと?
お二人は「お薬」を飲んでいますか?
うん、飲んでいるよ。
高血圧や少し糖尿の心配があるので、毎日飲んでいるよ。
愛ちゃんは?
毎日ではないけど、風邪をよく引くので「風邪薬」など飲むわね。
何で、そんなことを聞くの?
ご存知と思いますが、薬には薬効がある反面、必ず「副作用」がありますよね。
ものには「メリット」がある反面、必ず「デメリット」があるようなものですよね。
実は、IoTにも「副作用」というか「問題点」があるんです。
えーっ、それってどんなこと?
図3 IoTの副作用
NHKのニュースで報じられていたんですが(*2)、「IoT機器がサイバー攻撃の犯人」になった、というんです。
っていうんです。
ひゃー、これは大変なことじゃないの?
防ぐ方法は無いんですか?
そうですね。
利用者としての対策は「パソコンならウィルス対策」がありますが、IoT機器には今のところありませんよね。
安全なIoT機器作りが必要になってきますね。
デバイスのゲートウェイなどに「ウィルス対策」をするなど、これからのメーカーの機器作りに課題があります。
これは大きな問題だね。
それじゃ最後の「国や日立さんの動き」のお話をして下さい。
はいはい。
では国の動きから話します。
前回の勉強会で「IoTの世界では日本は遅れている」と聞かされましたが、それを挽回するために、国が動いたんです。
これもNHKのテレビニュースで報道されました。(*4)
あら、具体的には?
図4 日本とドイツが提携
テレビ報道の中身を紹介すると
というものでした。
そうなんだ。
その中の「4.」項がポイントね。
日本が世界の動きに遅れないように、できるなら世界のリーダーの位置に立ちたいってことね。
分ったわ。
じゃあ次は、日立さんの動きね。
おやおや、今日は張り切って取り仕切るね。
はい、張り切っています。(笑)
前回も日立さんの動きを勉強しましたが、新しい情報(*5)として日立さんが「IoT基盤を整備して鉄道や電力事業に力を入れGEやIBMより優位に立とう」としていることなんです。
そうなんだ。
力が入っているのね。具体的には?
図5 海外に先行
具体的に話しましょう。
日立さんは、今年の4月14日に次のようなことを発表しました。
というんです。
ぜんぜん具体的ではないわね。
もっと中身を教えて下さい!
おやおや、厳しいご指摘ですね。では、補足します。
その「IoTプラットフォーム」の中核となるのは、日立さんが2015年5月に買収した米ベンタホ製のデータ分析ソフト「Pentaho」だそうです。
これは、OSS(オープンソーズ・ソフトウェア)ベースのソフトで、IoTのセンサーやSNSなど100種類以上のデータ形式に対応していて、それらを可視化、分析ができるんだそうです。
それだけで「GEやIBMの先を行く」ってこと理解できないけど?
はいはい、すみません。そのことを説明します。
と日立さんの幹部(*6)が発言しているんです。
そうか、その辺は大きく期待したいところだね。小野田君、よく勉強したね。
また、アンテナを高くして新しい情報の入手にも努めたね。感心、感心。
有難うございます。
誉められたついでに、お願いがあります。
じつは、最近テレビなどでよく報道されている「フィンテック」について、少し教えてほしんです。
そうか。
今度は愛ちゃんにやってもらおうと思ったが、このテーマは少し重たいかもしれないので、私が解説するか。
よろしくお願いします。