IPよもやま話
I(愛)ちゃんとP(パパ)とO(小野田君)の会話が続きます。
今日は、以前「IPv4消滅の日」について勉強(*1)して、その後にもパパに「IPv6」のポイントを聞いた記憶があるけど、それが今はどんな状況か、どの程度普及したか、今後はどうかのお話だよね。
そうだ。
珍しく愛ちゃんが、以前の勉強テーマや私に聞いたことを覚えていたんだが、その中身まで覚えているかい。
エー、覚えているわ。
IPv4のアドレスが枯渇(*2)してしまうので、IPv6が生まれたんでしょ。
IPv6は、アドレス数が物凄く豊富なので、何にでも使えるほどで、IPv4に比べて改良もされているんだって、覚えているわ。それに最近の勉強でIoT時代にも対応できるってことも・・ね。
ほほう、感心、感心。
覚えていることは後で聞くとして、今日は、結論めいたことから話すんだが、実は「Ipv6」は思ったほど普及していかなくてね。先ごろ勉強した「IoTの時代到来」で俄かに普及の見通しや未来が開けてきたと言えるんだよ。
そうなの?
パパから聞いた私の記憶では、
確かキャラメルくらいの大きさの中にいる「蚤(のみ)」にもアドレスがつけられることなどを覚えているわ。
はっはっは。
何ともアバウトな記憶だが、的は得ているね。
そのことを図1に示したから、正確に思い出して欲しいものだ。
図1 IPv6のアドレス数
<補足> 出典:Q&Aで学ぶVoIP(藤島信一郎著/リックテレコム刊)
そうそうそう。
この絵も見せられた記憶があるわ。
キャラメル大のスペースに「6.67×10の19乗」で蚤(のみ)にもつけられるってこと、よく覚えているわ。(笑)
そうだ。
それが「IoT時代」になって、「モノがインターネットに繋がる」ときに「アドレス数の心配」が無くなるってことだ。
愛ちゃん、図2も見せたんだが覚えているかな?
あー、勉強会のときではないけど覚えています。
このときには、「IoT」についての意識は無くて、ただ「IPv6」にアドレス数の心配が無くて、何にでもアドレスをつけられるようになる、ということを説明したんだが、「IoTの時代」になって現実的になったね。
そのとき「アドレスが使い放題になる」の例として、4つの事例を挙げていたんだ。
図2 IPv6アドレスの利用例
思い出したわ。
そうだったんだ。
1のタクシーのワイパーにアドレスをつけるってのは、面白いわよね。
ワイパーが振れるのが多かったら、配車するんでしょ。
そう、そのとおり。
2の「IP冷蔵庫」も面白いね。
パパなんか喜びそう。IoT時代になってもうこんな電化製品開発されてるそうね。
うん。一度2000年ごろ、大手電気メーカーが発表したり、ショールーム展示などしたが、今またIoT時代になって開発されて展示もされているね。
3も面白いですね。
独身の私なんか「冷蔵庫にあるもので、何ができるか?」教えて貰えると嬉しいですね。
あら、私だって助かるわ!
4も有難いですね。
風呂だけでなく空調とかカーテンとかもできると嬉しいです。
これらの話は、その時には「IoTの話」はなかったけど、いまなら「IoTでバッチリ」よね。
でも、パパ! IPv6の普及はいまいちって気もするけど?
そうなんだ。
今までIPv6は、思ったより普及していないんだが、これからIoTで普及していくと思うよ。
普及状況のチェックポイントの1つが、情報通信白書にある。
それはどうなっていますか?
総務省の平成26年度の情報通信白書に「IPv6への対応状況」が報告されていてね。
データは少し古いが、それによると「APNIC/JPNIC(*3)におけるIPv4アドレス在庫が枯渇した23年4月からアクセス回線事業者のIPv6対応が本格化しており、多くのISPにおいてIPv6に対応したインターネット接続サービスが開始されつつある。
また、平成22年度末時点では、既存FTTHユーザーの2,020万人加入のうち、IPv6に対応予定のFTTH回線は約720万回線であることから、35.6%のFTTH加入者がアクセス回線を変更することなく、IPv4に加えてIPv6インターネット接続サービスを利用できる環境にある。
さらに、モバイル系ではNTTドコモが平成23年6月、LTE対応の通信端末においてIPv6インターネット接続サービスを提供開始している。
・・・・とね。
ISP(インターネット接続事業者)についてはどうですか?
うん、「ISPについては、アクセス回線事業者のIPv6対応に合わせて、大手ISPを中心にIPv6インターネット接続サービスの提供が進展している。平成24年3月に総務省が実施したアンケート調査に対し、全体では52.2%のISPがIPv6インターネットサービスを「提供中」、「実験/試行サービス中」、「提供予定(対応中)」と回答している。
ISPの規模別にみると、加入者5万契約以上のISPでは86.7%に達している。
一方で1万契約未満のISPの39.1%が「検討の上、提供しないと決定」か「未検討」と回答しており、中小ISPの対応は遅れている。
・・・とあるね。
そうですか。
そうするとお父さんが冒頭に言われた「あまり普及されていない」というのが現実ですね。
どうしてでしょう?
うん、ある雑誌(*4)が「IPv6を使用していますか?」とアンケートをした結果何と「90%が利用してない」と答えているんだ。
そして、その理由の大半が「特に困っていない」というんだよ。
どうしてかな?
図3 困っていなくても
その調査によるとね。
等が主な理由になっているね。
さらに「利用している企業」の中には「導入したサービスや機器がIPv6だった」という他力のものや「評価・検証のため」などが多かったとされているんだよ。
ただね、「うちは十分なIPv4アドレスがあるから大丈夫」という企業でも、数年後にはIPv6への対応を具体的に検討せざるを得なくなるんだ。IPv4アドレス枯渇後、新たに取得できるのはIPv6アドレスだけになり、IPv6を使うユーザーは増えていくんだよ。
そうしたユーザーにも、自社のWebサービスや電子メールサーバーなどにアクセスしてもらえるようにするために、少なくともこれら対外的なリソースについてはIPv6の実装が必須になることは理解しておく必要はあるんだね。
でも、パパ、最近大きな動きがあったと言ったけど、なーに?
図4 全スマホにIPv6
そう、新聞の見出しふうにいえば「モバイルが迎えるIPv6時代」と「IoT待ったなし、進むIPv6移行」といったところだ。
具体的に言うとどんなこと?
2015年11月に、総務省が携帯キャリア3社に対して、「2017年度から全てのスマホで「IPv6」を利用可能にするように要請したんだ。(*5)
それは何を意味しますか?
そうだね。
従来の規格「IPv4」では割り当てられるアドレスの在庫が枯渇して、このままでは国内のスマホの利用者がネットに接続できなくなる恐れがあるためなんだ。
IPv6への対応は、米国では大手携帯事業者のベライゾンで利用率が7割を超えていて、アップルも最新の基本ソフト(OS)で必須としているんだ。従来のIPv4経由で利用すると一部アプリで反応速度が遅くなる場合もあるなど、IPv6接続を前提としたサービスが広がっているので、わが国のレベルアップも必要だということだろう。
そうすると、新聞見出しの2つが、これからのIPv6普及を推し進めるといったところですね。
そうだね。ここまでで本日はおしまいだ。
図5 これからのIPv6
パパ。
お願いがあるの!
私、インターネットバンキングをしたいの。
その仕組みや利用するときの注意事項など教えて欲しいんだけど・・・。
分ったよ。
でも、自分で調べるような考えを持たないと駄目だよ。
今回は教えて上げるけど・・・。
わかりました。