IPよもやま話
I(愛)ちゃんとP(パパ)とO(小野田君)の会話が続きます。
パパ、今日は「携帯電話の5G」について教えてくれるんだったわよね。
そうだったね。
まず、愛ちゃんの質問の「5Gって何?」について説明しよう。
有難う!先ず「G」が何者か教えて!
「G」はね。
「Generation」の略さ。意味が分るかな?
そうかぁ、簡単よ。「世代」ってことよね。
パパと私は「Generation Gap」があるって使えばいいのよね。
おやおや、ひどい例えだね。
そう、その「世代」で正解だ。
携帯電話には、世代が第1世代から第4世代まであったんだが、最近第5世代機の話が出てきて「5G」と云う言葉が良く使われるようになったんだよ。
そうなんだ。
携帯電話の世界は進化が激しいので「世代交代」が頻繁にあったってわけね。
うん。
第5世代機のことを一言で言うと「現在の最新モデルの4G(第4世代携帯電話)あるいは4G LTEの上位に位置づけられる次世代の移動体通信の通信方式や携帯端末の通称」なんだ。
LTE*1の話はしないよ。以前勉強済みだからね。
「5G」には全部で5つの呼び名があるんだよ。(図1)
図1 「5G」には5つの呼び名がある
そうなんだ。
どんどん世代交代したんだけど、世代交代で一番特徴的なことは何?
そうだね。
詳しくは後で説明するが、一番の違いは「通信速度」だね。
どんどん高速化してきたんだ。
詳しくは後で説明するが、速度だけに着目したのが図2だ。
図2 第1世代から第5世代までの高速化推移
「5G」を一言で説明されたけど分かり難いわ。速度以外にもっと分り易く言ったらどんな説明になるの?
そうだね。ではもう少し詳しく説明しよう。
4つで言うよ。(図3)の通り。
図3 「5G」を簡潔に説明すると
パパ。
あっさり4項目を言われたけど、全然分らないわ!
「1と4に注目しなさい」とのことだけど、具体的に教えて!
図4
うん。
1には、図中の(注)にもあるが、「超高速」「超大容量」「超大量接続」「超低遅延」の4つがあるんだ。これは「5Gの要求条件」でもあるんだよ。
まず、「超高速と超大容量」から説明しよう。
これは「従来の延長線上の要求条件」なんだが、図4に示した「大容量の映像配信」のようなものだ。
4は?
これからIoTの時代になるんだが、そのネットワーク向けに重要な「5G」と云うことになるんだね。
IoTって何のこと?
IoTは「Internet of Things」の略なんだが、「モノのインターネット」のことで、いままでは主にパソコンやサーバー、プリンタ等のIT関連機器が接続されていたインターネットにそれ以外の様々な"モノ"を接続する技術のことなんだ。最近流行のキーワードだよ。
それ、よく分らないな。
「5G]との関連も含めて説明してくれないかな。
つまりね、図5(超大量接続)と図6(超低遅延)は、IoT向けの要求条件でもあるということさ。でも、今日は、時間が無いから、「IoT」は次回にしよう。
そうだ、たまには小野田君の出番にしよう。「IoTについて」勉強してきなさい。
分りました。次回までに勉強してきます。
今日の「5G」に大きな意味があるんだから、キチンと勉強してくるんだね。
分りました。
後の2つは?
うん、後の2つは「新たな要求条件」になるが、3つ目は「長大量接続」で、以前勉強した「スマートメーター*2などだね。(図5)従来の10〜100倍の接続数などに対応することだ。
図5 図6
最後の「超低遅延」て?
「超低遅延」とは、1ミリ秒以下のレベルだが、例えば「自動運転車」などなんだ。
このように、従来の延長線上のものと新たな要求条件の領域の2つがあるんだね。
ちょっと待って。
「超低遅延」が何で「自動運転車」に必要なの?
自動車の自動運転には、ノキアなどから自動車同士の通信を行う車間通信の導入を提言されているんだ。例えば、数台先を走る自動車が急停車しても、そのブレーキ作動情報はスピーディに伝わり、自動運転時でも玉突き事故を発生しないようにする、というようなことだ。
そうかぁ、分りました。
で、この「5G」はいつから使えるようになるの?
図7 5Gの商用時期
5Gの商用化は、およそ5年後の2020年になる、とされている。
日本ではちょうど東京オリンピック(夏季五輪)が開催される時期だ。海外では、「2018年の冬季五輪を開催する予定の韓国もその開催時期にあわせて5Gのショーケースを実施すると言っているんだよ。韓国の方が早いんだね。
日本では5Gはどの事業者が進めていますか?
NTTドコモだね。
NTTドコモは、5G実現に不可欠な通信技術の構築を目指し、2014年5月からNECや富士通、Nokiaなど通信機器メーカーを中心とした8社と連携し、それぞれの企業と共同実験を実施してきたんだが、さらに2015年7月22日、第5世代移動通信(5G)実現に向けた実験や技術開発に関して、Intel(インテル)やQualcomm(クアルコム)など新たに5社と共同実施すると発表したんだよ。(図7)
図8 NTTドコモと連係するメーカー等
そうなんだ。
いつ頃実用化されるのかしら?
そうだね。
さっき言ったように東京オリンピックの年、2020年を目途にしてるんだ。
どんどん高速化しているって説明があったけど、そんなに高速化する必要があるの?
うん、携帯電話などの「モバイルトラフィック」は2010年から2015年の5年間で24倍に、2020年には1,000倍にも膨れ上がるといわれているんだよ。
そこで、5Gシステムは2020年7月までに商用化することが関係者の課題になっているんだ。
図9 モバイルトラフィックの伸び
そうなんだ。東京オリンピックの年ね。
凄いね。
そこで、NTTドコモは「5Gとして爆発的に膨れ上がるトラフィックを収容できるLTEやLTE-Advancedをさらに高速、大容量化した無線システムを想定しているんだね。
具体的にはどんなことですか?
ドコモではこのような要件を持つ5Gシステムを実現するために、新たに3つのアプローチを取ったんだ。
具体的には、
の3つだ。
無線アクセス方式自体は、LTEやLTE-Advancedで用いているOFDMAをそのまま使うんだ。
その意味ではドコモが考える5Gは、現行システムの延長上にあるといっていいと思う。
5Gはユーザーにとってどんなメリットがありますか?
うん、これは鋭い質問だ。
技術は先行してるが「ビジネス的な視点」が欠けていて、ユーザーメリットもあまり見えないと指摘する人もいるようなんだ。
そうすると、乱暴な言い方だけど、東京オリンピックの年にデビューするらしい5Gって、次世代の携帯電話としてどんな魅力を持って登場してくるか「乞うご期待」ってとこかしら?
そうだね。どんな新サービスでも、利用コストの低減とか使い勝手の格段な進歩とかがないと、市場(ユーザー)には受け入れられないからね。
それに世界的な標準化作業はまだ始まってはいないんだ。「5G」で使う周波数の割付は、ITU-R*3で決まるんだ。そこで利用するシステムにはどのようなものがふさわしいか、ITU-Rがビジョン勧告を作り、要求条件を定めて、最終的に技術を募集することになるので、標準化はこれからが正念場なんだね。
そうなんだ。
「5G」はこれからの技術・サービスってことね。
あらましは理解できました。
次回は、小野田君に出された「IoTの話」ですね。
小野田君、しっかり頼むわよ!
はい、分りました。(笑)