IPよもやま話
I(愛)ちゃんとP(パパ)とO(小野田君)の会話が続きます。
パパ、今日は「クラウドPBX」の話よね。
随分前に一度勉強したことを覚えているわ。(注1) 最近、大きな変化があったのかしら?
勉強したことを覚えていても駄目だね。その中身を覚えていなきゃ!
ごめんなさい。実はあまり覚えていないの。
クラウドPBXのイメージをおさらいしてくれないかな。
お父さん、私がよくわかる図を、ある雑誌(注2)からピックアップして作り直したものがあります。それが図1です。
図1 オンプレミス型PBXとクラウド型PBXの特徴と課題
出典・引用:月刊テレコミュニケーション(2014.12)から作成
オンプレミス型って今までのPBXのことね。
コンピュータシステムになぞらえた言い方ね。でも、分かり易い図です。
小野田君、有難う。イメージ取り戻しました。良く勉強してるのね。
はい最近、その雑誌で「クラウドPBXはもう止められない」という特集記事を見たのです。
そうか、それなら話が早い。
ときどき小野田君に話を振るから答えてくれないかな。
はい、その特集記事も参考にして少し整理したものを持ってきましたし、覚えている範囲でお答えします。
よし、よし。
では、最近のキャリアやメーカーの動向について説明できるかな?
はい、整理して来ました。
クラウドPBXは、キャリア先導型ですが、メーカーの動きも出てきています。
そうだ。
PBXは、ずっとメーカー先導だったが、FMC(携帯やスマホの内線利用)からキャリア主導型になってきたね。通信キャリアが「クラウドPBX」や「クラウドUC」の販売に力を入れ始めたので、その傾向がさらに大きなうねりになってきたね。
あらー。
じゃあ、企業のコミュニケーション環境はキャリアに巻き取られてしまうのかしら?
図2 先行するNTTコムとKDDI
メーカーも「メーカーならではの強みを出したい」と頑張ってきています。
そのへんもこれから説明します。
まず、キャリアの動きを整理してきたのが、図2です。
先行しているのは、NTTコムとKDDIだそうです。両社のスタンスは「目指すのは、音声、データ、ネットワーク、デバイスの全部取り」と言っているようです。
表1 クラウドPBXのキャリアの動向
そうだね。
両社とも法人戦略の柱に「クラウド事業」を持ってきていて、音声回線、ネットワーク、端末だけではなく、企業ICT全般を広くビジネスの対象にしているね。
主に大企業に対して「オンプレミス型システム」から「クラウド型業務・情報システム化」の提案を、もう数年前から始めているね。
メーカーや通信系ディーラーは、うかうかしていられませんね。
小野田君、評論家みたいなことを言ってる場合じゃないんじゃないの?
メーカーの動きも調べたんでしょう?
はいはい。調べてあります。表2がそれです。
表2 PBXメーカーの対抗策=独自のFMCを強みに
NEC | 沖ウィンテック | 日立 | |
---|---|---|---|
システム名 | UNIVERGE Live | Exaas音声クラウド サービス |
CommuniMax/CT |
1ポート価格 (月額) |
エッセンシャル:800円 NWサービス:2万4600円 |
1,200円(税別)でPBXの基本機能とシステムの保守・管理サービス | 税込み1,890円 |
ワンポイント特徴 | ディーラーにも売れる仕組みを構築 | オンプレミスとクラウドを柔軟に切り替え | FMC・UC機能を強化し高付加価値化を進める売れる仕組みを構築 |
発売時期 | 2010年9月16日 (提供は11年1月)*1 |
2011年11月 | 2013年11月1日 |
概要 (主なサービス等) |
メール、グループウエア、ウイルス対策など、企業が必要とする基本的なアプリケーション28種類。 併せて、UNIVERGE Liveを利用するための通信環境を構築するUNIVERGE ネットワークサービス」の提供。 |
共有型IP-PBXをOKIのデータセンターに設置し、1ポート当たり月額1200円(税別)でPBXの基本機能とシステムの保守・管理サービスを一体で提供する「共同利用型」と、専有型IP-PBXで顧客の要望に応じて柔軟にカスタマイズできる「プライベート型」の2メニューをラインナップしている。共同利用型は、500〜1000ポートの中規模オフィスが対象となる。上記基本サービスのほか、トラフィックレポート、課金サービス、端末保守サービスなどのオプションも提供する。最低利用期間は3年。 | 基本サービスに加え、各種コミュニケーションシステムを相互に連携し、企業内の生産性向上を図るユニファイドコミュニケーション(以下、UC)機能として、電話帳やコンタクトリスト、プレゼンス表示などの機能を一覧表示し、効率的に利用できるUCポータル画面を提供する。また、近年ニーズが高まるBYODにも対応し、スマートフォンを利用した外出先からの内線通話が可能で、発着信履歴をスマートフォンに残さず個人情報の漏えいを防ぐ。 これらのサービスは海外でも同様に利用することができる。 |
日立さんは後発ですが、どんな特徴があるのかしら?
表2に少し書いてありますが、補足しましょう。
システムイメージを図3に示します。
図3 日立のクラウドPBXのシステムイメージ
出典:日立製作所ニュースリリース(2013.9.25)を引用作成
クラウドPBXの共通の特徴である「省スペース」「短期間開通」などの他、日立さんの特徴をいくつか上げると
そうなんだ。
すると小野田君が見た雑誌の「クラウドPBXはもう止められない」っていう時代になってどんどん普及していくのかしら?
オンプレミス型は無くなっていくの?
いやいや、そう急激に普及するとも限らない気がするね。
ただ、キャリア優位といわれているクラウドPBXだが、メーカーサイドでは、FMCにオンプレミス型を使う「ハイブリッド型」も考えられるし、キャリアの弱点(UCや在宅勤務やモバイルワークを支えるコミュニケーションツール等)を突いたメーカーのクラウドPBXの健闘なども期待できるね。
今回は、小野田君もそれなりに勉強していることも分かって有意義だったよ。
有難うございます。
ただ一つ気になったことがあります。
NECさんが「ディーラーにも売れるシステム」としていますが、日立さんはどうなんですか?
おいおい、君の領分ではないか!
君の調べた表2を含めて対応しているよ。
日立システムズネットワークス(現:日立システムズフィールドサービス)さんも対応しているから良く調べてみてよ。
そうだ、次回は、小野田君が日立と日立のディーラーの対応など調べて報告してくれないか。
ちゃはー!やぶ蛇だったな。(笑)
分かりました。
では次回は、そのテーマにしよう。