IPよもやま話
IちゃんとP(パパ)と小野田君の会話が続きます。
今日は「パソコン廃棄の話」よね。
私、[WindowsXP対策]もあってPCを新しく買ったので、古いのを捨てたいの。
PCは「燃えないごみ」で出せないし、勝手に捨てられないのよね。
注意事項などを今日はじっくり勉強したいな。
図1 新法律施行は4月1日から
分かりました。
実はね、小型家電リサイクル法が、今年の4月1日に施行されたんだよ。
そのことから説明するね。
正式名称は「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」って言うんだがね。
これは、使用済みの小型電子機器などに使われている金属など有用な資源をリサイクルするための法律なんだ。
その法律と、私が捨てようとしているPCと関係があるの?
そう、まあ、あるといっていい。
と、いいたいが、実際はそうでもないし、少しややこしいところもあるんだ。
新法律は、PCや電話、ルーターといった小型の電気製品について、リサイクルのためのルールを定めた法律なんだがね。
しかし、その取り扱いが自治体ごとに変わっていたりして、少し分かりずらい法律なんだ。
この小型家電リサイクル法は、携帯電話やデジタルカメラ、ゲーム機、電話機やファクスなどさまざまな小型家電製品を自治体や認定業者が回収し、その中に含まれるベースメタル(鉄や銅など)、レアメタル(金、銀、リチウム、プラチナなど)をリサイクルするというものなんだね。
私の聞き覚えの知識だと、テレビ、エアコン、洗濯機などは、家電店が回収し、製造メーカーがリサイクルすることになっていて、家電店に回収してもらうとき、運賃や数千円の費用を取られると、思っていたけど?
そう。
それで正解だよ。
整理すると「今までの家電リサイクル法の対象は4品目で、(1)エアコン、(2)テレビ、(3)冷蔵庫、(4)洗濯機が対象で、その他はすべて「消費者向け電気製品」ということになるんだが、ややこしいのは「パソコンリサイクル法」というのがあって、PCに限ると2つの法律が絡むんだね。
従来の「家電リサイクル法」「パソコンリサイクル法」と、新法律の「小型家電リサイクル法」の大雑把な比較を示したのが、表1だ。
繰り返すが、家電リサイクル法の対象物4品目の他は、全て小型家電リサイクル法の範疇ということになるんだが、PCだけ2つの法律に跨るんだよ。
家電リサイクル法 | パソコンリサイクル法 | 小型家電リサイクル法 | |
---|---|---|---|
正式名称 | 特定家庭用機器再商品化法 | 資源の有効な利用の促進に関する法律 | 使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律 |
制定月 | 2003年10月 | 2001年4月 改正:2003年10月 |
2013年4月 |
対象品目 | (1)テレビ (2)エアコン (3)冷蔵庫・冷凍庫 (4)洗濯機・乾燥機 |
(1)自動車 (2)パソコン (3)他全19種類 →2003年10月の改正でパソコンとディスプレィが追加されたので「PCリサイクル法」と呼ばれるようになった。 |
(1)携帯電話 (2)デジカメ (3)ゲーム機 (4)その他、各市町村決定品 (補足)表2参照 |
使用済み家電品の回収法 | 家電販売店(小売業者)が、消費者から回収し、製造メーカーがリサイクル | メーカーが窓口 →インターネットや電話で申し込めば、エコゆうパックを利用して、そこから再資源化センターに送られ、リサイクルされる。 |
|
再資源化の実施 | 製造メーカー | 製造メーカー | 認定事業者など |
消費者の費用負担 | 対象品目によって数千円程度を負担+運搬費 |
|
市町村によって異なる(品目によって有料の場合あり) |
新しい法律の目指すところは、何でしょうか?
うん。それについて説明しよう。
リサイクル関係の法律は、3つあるんだ。(表1)
PCや通信機器には「金や銀」といった貴金属やパラジュームなどのレアメタル、銅やアルミといった比較的高額な金属が、配線や基板、電気接点、蓄電池などに多く使われているよね。
こうした製品に含まれる資源をリサイクルして再利用するのが「都市鉱山」という考え方だ。
それを狙ったのが新法律の「小型家電リサイクル法(正式名称は「使用済小型
電子機器等の再資源化に関する法律)ということさ。
資源のリサイクルの他、有害物質による環境悪化対策もあるのではないですか?
うんうん。
いい質問だ。
PCや通信機器などの小型家電は廃棄処理がずさんだと土壌を汚染する可能性があるよね。
リチウムバッテリーが発火してプラスチックに延焼、家事を起こす危険性もある。こうした問題に対し、都市鉱山の活用と同時に「環境負荷の低減」を狙っているんだね。
私の心配してるPCは、正確に言うと新法律の適用を受けるの?
どうすればいいの?
そうだ、PCに特化した話をしないと愛ちゃんに叱られるね。
結論を先に言うね。
PCは、新しい法律で「小型家電の範疇に入っている」が、この新しい法律を適用している自治体は、まだ、極めて少ないということだ。
つまり、PCは、従来とおりの「パソコンリサイクル法」で扱う自治体がほとんどだということさ。
私も先日PCを廃棄したんですが、その法律適用でした。
そうだ。
家庭用PCの回収・リサイクル実績は2012年度(2012年4月〜2013年3月)419,511
台で、前年の415,480台を上回り、過去最高の年間回収実績となっているんだ。
ところで愛ちゃん、小野田君、PCには「リサイクルマーク」がついている
ことを知ってるかい?
いいえ。知りませんでした。
不勉強でした。
図2 PCリサイクルマーク
<補足>
このマークは、必ずしも
カラーではない。
PCリサイクルマークは、図2のようなもので、
平成15年(2003年)10月以降に販売された家庭向けPCに貼付されているんだよ。
このマークの付いたパソコンは、廃棄する際に新たな料金を負担しなくていいんだ。
回収はそれぞれのPCメーカーが窓口となり、インターネットや電話で申し込めば、エコゆうパックを利用して、そこから再資源化センターに送られ、リサイクルされる。
PCリサイクルマークのついてないパソコン(平成15
年9月までに購入された製品)は、回収再資源化料金を負担する必要があるんだ。
関連して1つ、いいことを教えて上げよう。
実は、iPadをはじめとするタブレット端末にも、PCリサイクルマークが付与されているんだよ。
なんだ。
平成18年に買ったんだし、悩むことはなかったんだ。
いやいや、どこのメーカーのものでも全部ついているわけではないんだよ。
確認しておいた方がいいね。
もし、マークがついていなかったら、どうなるの?
PCリサイクルマークが貼付されていないパソコン・ディスプレイについてはそのまま回収の申込みをして有償、つまり廃棄時に「回収・再資源化料金」を負担することになるね。*1
そうなんだ。
実は、環境省、経済産業省が2013年3月に打ち出したガイドライン(使用済み電子機器等の回収に係るガイドライン)に「特定対象品目」というのがあって、標準的なケースなら市町村・消費者が認定事業者に処理料金を支払わなくても済む範囲でリサイクルできると判断しているんだ。
つまり、リサイクル費用は無料ということになる。
その品目にPCも含まれているんだ。
それが、表2だ。
表2 特定対象品目
えーっ。
それなら、自治体に無料で回収して貰えるの?
うん。
そこが不明だったんである自治体に電話で確認してみたんだ。*2
M市では「小型家電回収ボックッス」を配備して、そこに廃棄する方式だ。
長い話になったが、愛ちゃんに結論を言うと「パソコンをリサイクルに出す場合は、(1)小型家電リサイクル法による自治体の回収と、(2)パソコンメーカーによるリサイクル制度の2つを比較して、愛ちゃん自身で最適な方法(ルート)を選ぶといいと思うよ。
分かりました。
いろんなことを教えて貰いましたし、私のPCの処理法も分かりました。
有難う。
お父さん、次回ですが私のリクエストを聞いてくれますか。
実は「ビッグデータ」について知りたいんです。
最近テレビや新聞で結構出てくるのですが、本質を知らないので・・・。
いいだろう。