IPよもやま話
IちゃんとP(パパ)と小野田君の会話が続きます。
今日は「ビットコインの話」だったわよね。
テレビや新聞で報道されていたので、興味を持ったんだけど、中身を分かり易く教えて欲しいな。
何とかと言う会社が、多額なビットコインを消失した話も教えて!
図1 ビットコイン
いいとも。
そもそも「ビットコイン」とはね、BTC(Bitcoin)と呼ばれるインターネットで取引される「仮想通貨」のことなんだ(図1)。
「コイン」だから「お金」ってことは分かるけど、仮想だと現物をお財布に入れて買い物に使うことはできないのね。
うん、うん。インターネット上で流通するだけだが、円やドルと換金はできるし、ビットコインで買い物もできるんだが、ゆっくり説明していこう。
何から説明しようか?
ビットコインは5年くらいの歴史しかないと思うんですが、急激に普及し始めたのには、どんな魅力(人気)があるのかを、まず、教えてくれませんか。
そうだね。
なぜ人気があるか、つまりその魅力を調べると、4つあるね。(図2)
図2 ビットコインの魅力
図3 ビットコインの対ドル相場の推移
出典・引用:Livedoor Newsに加筆して作成
<補足>
うわー。凄いわね。
うん、もっと凄い例もある。
極端な例だが、初めてビットコインで購入された商品は、2枚のピザで代金は「1万BTC」だったが、現在は日本円で1億5797万円に相当する額になっているんだよ。
えーっ!嘘でしょう!
物凄くリスキーね。
そう文字通り「リスキー」で「管理者無き仮想通貨」とも言われているんだよ。
このことも後からゆっくり説明するね。
ビットコインの発行や取引についても教えてくれませんか。
そうだね。
項目的に整理して説明すると
ちょっと、口を挟むけど、一体全体誰が考え出したの?
図4 発明者は正体不明
うん、それはね。
小野田君が言う5年前の2009年ごろ「サトシ・ナカモト」という「37才の男性」が発明したとされているんだが、正体は不明なんだ。
へーっ。なんか怪しい感じね。
説明を続けるよ。
また、口を挟むけど、その上限は誰が監視するの?
うん、それはね。
ネット上のプログラムが発行量を管理しているだけなんだ。
この上限があることは、通貨というより実物資産の「金」に似ているだろう。
つまり採掘(発行)が進めば残りの埋蔵量は減っていく、というわけだ。
説明を続けるよ。
ビットコインを持っている人は、どんなふうに使うのかな?
「専用口座」に蓄えられているBTCは「ウォレット(財布)」と呼ばれるんだ。
愛ちゃんの銀行口座なら、さしずめ「預金残高」といったところだが、ここから「ダウンロード」すると「ウォレットからの出入金」ができるんだね。
使い方は分かったけど、現実に使えるお店ってあるの?
うん、食事や買い物の際に、ビットコインで支払いができる店舗は、日本では飲食店や語学学校など十数店 なんだが、欧米にはすでに数百店舗があるそうだ。
日本の東京港区にあるレストラン「ピンクカウ」では、毎週数人がビットコインで代金を支払っていると聞くよ。
それで支払いは簡単にできるの?
図5 スマホで支払い
そうだ。とても簡単なんだね。
かかった料金を店舗がQRコードに変換してパソコンやi-Padなどの端末に表示すると、客がスマホをかざして読み取るんだ。
それで即座に支払いが完了する。
所要時間は現金支払いとほぼ同じくらいだね。
「ビットコイン」について大体分かってきたんだけど、その「マウントゴックス社の騒ぎ」について教えてくれない?
新聞だと、確か「114億円消失か?」って書いてあったけど。
破綻は、2013年2月28日だった。
愛ちゃんの言うとおり、消失額は直前のレートで114億円に相当するそうだ。
「消失」ってどういうこと。
現金ではないんだからドロボーにでも襲われた「盗難」でもないでしょうに。
その通りだがビットコイン社のマルク・カルプレス社長は「盗難」としているんだよ。
同社のシステムの欠陥がハッカーの攻撃でアットいう間に盗まれた「サイバー空間の盗難劇」と記者会見で話しているんだ。
その後の情報*1では、マウント社に対して「DDoS攻撃」*2が、何と「毎秒15万回」もあったそうだ。そして2月28日に経営破綻したわけだ。
えーっ。攻撃を受けたのは、日本のマウント社だけなの?
いや海外の数社も被害をうけたね。
それって、どこに消えた(盗まれた)んでしょうか?
そうだね。まだ分かっていないが、ビットコインの取引記録は公開されているので、詳細に分析可能で見つけ出せる可能性があるとは思うね。
今後の推移を見守りたいところだ。
しかし、85万ビットコイン分もの大量のデータを気付かれないように盗み取るのは、技術的に非常に難しいと思う。
「ハッキング被害 」という同社の主張を検証すべき、という意見もあるがあるのもうなずけるね。
最初に「ビットコインの魅力」について聞きましたが、ここまでの説明で課題というか問題点ありますよね。私の理解で、課題を上げると、3つあるように思います。(図6)
それは、
(1) 不安定な価値図6 ビットコインの課題
(2) 利用者保護のためのしくみが未整備
(3) 犯罪の温床になる恐れ
といったところ、と思いますが・・・。
図6 ビットコインの課題
そうだね。
そのとおりだ。
国の管理下にないビットコインが増えると、各国が単独または協調して行う為替介入や金利の上げ下げな どの経済・金 融政策の効果も薄れかねない。
仮想空間で新たに生まれた「マネー」を巡り、金融機関による規制や監督の動きが広がる可能性がありそうだね。
そうすると今回の事件の影響もあって、ビットコインの世界は衰退していきますか?
そうだね。
いろいろ変化していくだろうね。各国で金融機関の規制や法的な面を含めていろいろ検討されているが、マウントゴックス社の取引停止は、他の取引所の売買には直接的な影響はないようだし、利用者は減らないだろうと言う見方が大勢のようだね。
また、日本を始め世界各国で、規制を含めたいろんな動きが出てくるだろうから、その辺も注視していきたいものだ。
お父さん。
最近の新聞に主な国の動き(表1)と日本政府の見解が出ていました。*1
日本政府の見解ってどんなこと?
6項目あってね。
1.日本や外国の通貨ではない。
2.ビットコインを決済で使った取引は課税対象になる。
3.銀行の本来業務にはビットコインの売買の手数料や講座の開設は含まれない。
4.銀行の付随業務の可能性はある。
5.債務の返済に使うことを禁止する法律は無い。
6.証券会社はファンドの投資対象にできる。
といったところです。
国名 | 対応 |
---|---|
日本 | ビットコイン社と政府対応を本文で解説 |
ドイツ・カナダ・ノルウェー | 課税対象に。ドイツは規制導入を示唆。 |
アメリカ | FRB議長が「監督もしくは規制する権限を持たない」 と発言。一部の州がルール作りに意欲。 |
中国 | 中国人民銀行が国内金融機関に取り扱いの禁止を通達。個人は売買自由。 |
ロシア | ロシア検察総長室がビットコインは違法と表明。取引を事実上禁止。 |
カナダ | フレックスコイン社。3月2日サイバー攻撃で6000万円相当が盗まれ、同4日取引停止。 |
スロベニア | ビットスタンプ社。2月11日サイバー攻撃で一時取引停止。 |
シンガポール | 全事業者をマネーロンダリング(資金洗浄)などを取り締まる規制の対象とする |
フランス | 業者許可制を導入。 |
ありがとう。
私のお願いで始まったけど、とてもよく理解できたわ。
態度が大きくて気が引けるけど、私、WindouwsXPサポート期限のことでPCを買い換えるんですけど、今のPCを捨てるとき、何か問題があるか教えて欲しいの。
はいはい。我侭お嬢さんのご要求に対応しましょう。