IPよもやま話
IちゃんとP(パパ)と小野田君の会話が続きます。
図1 2014年問題
サポートが終了するのは下記
1) Windows XP(SP3)
2) Windows XP 64Bit版 (SP2)
3) Office 2003 (SP3)
4) Internet Explorer 6
今日は「Windows XPサポート終了の話」だったわよね。
私のパソコンはXPなので気がかりなの。
今日はよく勉強するわ。
はっはっは。
自分のことになると真剣だね。
この問題は「2014年問題」とまで言われるほど、企業の中でも大きな問題になっているそうですね。
そう、その通りだ。
WindowsXPのサポートが「2014年4月9日」に終了するので、その対策が必要ということなんだね。
するとどうなるかと言えば、Windows のサポートされていないバージョンに対しては、Windows Update からソフトウェア更新プログラムが提供されないということだ。
その中味には、個人情報を盗む有害なウイルス、スパイウェア、およびその他の悪意のあるソフトウェアから PC を保護するためのセキュリティ更新プログラムが含まれるんですよね。
そうだ。
Windows Update では、Windows の信頼性を向上させるための最新のソフトウェア更新プログラム(ハードウェア用の新しいドライバー)もインストールされるんだよ。
それは理解できるけど、どうして「サポートを終了」しないといけないの?
もうこれはずっと前に決まっていたんだよ。
Windows XP のサポート期間は 2002 年より導入されたサポートライフサイクルポリシー*1に基づいて決定していたんだね。Windows XP は 2001 年 10 月に発売され、2014 年 4 月にサポート終了になるわけだが「合計 12 年半のサポート期間」が終わったことになる。
Windows 製品に関しては、最短 10 年のサポート期間が提供されているんだが、Windows XP は後継製品の Windows Vista の発売時期により、サポート期間が 12 年半となったんだよ。
図2 何か困る?
じゃあ、仕方ないことなのね。
私のPCは「XP」なんだけど、何もしないと何か困ることがあるのかしら?
それにEメールはoutlook2003なんだけど。
エーッ、いまどきoffice2003なのー?
そうなの。
Officeは買ったきり全くいじっていないの。
うんうん、問題は大ありだね。
XPのサポート終了だけが大きく取り上げられるが「office2003のサポート終了」も忘れてはいけない大きな問題なんだよ。
わかったわ。
丁寧に分かりやすく教えて!
まず1番は、「セキュリティ」だね。
愛ちゃんはネットにつなげているから問題から逃げられないね。
OSのサポートが終了すると、OSの脆弱性の穴を埋める手段が無くなることになるので、外部との接触は全て危険を伴うようになるんだ。
そうなんだ。大変!
XPはサポート終了後も多くのセキュリティソフトが引き続き対応するんだが、セキュリティソフトが守ってくれるのはOSの脆弱性以外の部分なんだよ。
セキュリティの次にリスクを伴うのは、未対応アプリの増加が一番身近な問題になるはずだ。
サポート終了直後から利用不可能になるアプリはないが、次第にアップデート対象から外されていくし新規ソフトの動作対象からも外れるし、動作しても機能的に対応出来ないものが増える影響で快適に程遠い動作になるものが増えるしで、とにかく良い事は無いね。
自分で対策できないの?
古いアプリを古いまま使い続ける分にはサポート切れのOSも役には立つが、ネットに接続するのは非常に危険なんだ。
動画サイトはFlash*2の利用が前提になる事も多く、この対応が打ち切られると動画も正常に視聴する事が出来なくなると考えた方がいい。
欠点を細かくあげていけば他にも色々と出てくるが、こういった点を理解した上で、自身の用途と用法から外れる事無く、何か問題が起きても自己解決可能な人ならXPを使い続ける事は可能なんだが、恐らく愛ちゃんには無理だし、一般の人の9割は無理だろうね。
えーっ。脅かさないでよ。
お父さん。
具体的にどうなるかを整理して頂くとどうなりますか?
そうだね。
整理すると次のようになるかな。
この中で、特に重要なのは、「セキュリティ更新プログラムの提供」が受けられなくなることだ。
受けられないとどうなるの?
「セキュリティ更新プログラム」とは、プログラムの不具合やセキュリティ上の問題点 (脆弱性) を修正するためのプログラムなんだが、この「セキュリティ更新プログラム」を受けられなくなると、セキュリティ上、及び業務上のさまざまなリスクを抱えることになるんだよ。
具体的には表1に纏めたから参考にしてくれ給え。
表1 セキュリティ更新プログラムを受けられないと困ること
項目 | 内容 | 補足 | |
---|---|---|---|
1 | 取引先や相手に対しての問題 | ウイルス感染率が向上する為、下記のようなリスクが考えられる
|
ウイルス攻撃により、自分(自社)の情報が漏洩するだけでなく、知らず知らずの間にサイバー攻撃の「踏み台」となって、大事な取引先等の相手に多大な被害を与えることも考えらる。 |
2 | 問題が起きたときの対応遅れ | 電話やメールによるサポート、関連情報の提供が終了する為、PCトラブル時の原因調査、対応が難しくなる。 | PCを使う仕事が停滞する。 |
3 | 周辺機器のサポートの終了 | ウイルス定義ファイルや周辺機器のドライバー提供が終了するなど、各メーカーによるサポートが受けられない可能性もある。 | 詳細はメーカー等に問い合わせが必要になる。(一部例外もある) |
えーっ。
じゃあ私はどうしたらいいの?
新しく買い換えないと駄目ですか?
いやいや。サポート終了直前に、OSをWindows 7か8に入れ替えて使うという手があるよ。
このくらい小野田君にもできるだろう?
はい。できます
office2003をメールで使っていることにも問題があるのよね。
愛ちゃんのように、今までのPC環境において、WindwpsXPからOSだけアップグレードしたとしても、Windows8が動作するスペックとしては非常に厳しい環境となり、快適に動作しない可能性があるんだよ。
それって具体的にはどんなこと?
Office2003のサポートが終了するということは、XPと同じくセキュリティに関して脆弱性の問題を抱えていくということなんだ。
だからメールのようにスタンドアローンで無い使い方では、ウィルスやスパイウェアなどネットワークについての危険な要素に対して脆弱さを露呈し、この関係で様々な犯罪に対してユーザーである愛ちゃん自身が被害者になるかも知れないし、また、今後の操作性についても脆弱性を持つたままということになるね。
そうなんだ!
君たちも知っているようにPCを取り巻く環境は劇的に変化しているよね。
このために作業効率が格段に上がり、大量のメモリを搭載できるようになったんだ。
大容量のハードディスクも当たり前になり、通信速度も圧倒的に高速化してきているよね。
その上、小野田君の会社もそうだが現在のビジネスにおいては、PCのパワーを必要とするタスク・作業が増大していて、以前のPCより明らかにより高いパフォーマンスが必要とされているね。
お父さんの言いたいことは、「愛ちゃんが最新の PC環境を快適かつ効率的・安定的に使うためには、この際思い切って新しいOS,新しいOffice、つまり最新のPCを買った方がいい」ということですよね。
ヒャー。パパずるい、ずるい。
パパ自身が言うと「買って頂戴」って言われるんで、小野田君に言わせたな(笑)。
いいわよ。ボーナスがまだ残っているから自分で買うから・・・。
そうか、良かった、良かった。(笑)
お父さん、実は私の会社では経費の関係もあって、方針が固まっていないのです。
どのように提案したらいいですか?
実は、ある雑誌*3の報告では、サポート終了後もXPを使い続けるという企業は珍しくないんだよ。日経パソコンが電子情報技術産業協会(JEITA)と共同で今年9月から10月にかけて実施した調査では、XPを使用している企業は回答企業の95.4%に達しているんだ。
ほとんどの企業が、何らかの形でWindows XPを使用していることがわかったんだね。
サポート終了後も使用する企業は少なくなさそうだ。
えーっ、いいんですか?
サポートが終了する期日が近づいているからといって慌てたり焦ったりすることはないが、可能な対策を着実に実施したいものだね。
対策漏れのリスクを完全に予測はできないが、今年度の予算で移行するのが難しいなら、来年度早目に移行できるよう、手を打てばいいだろう。XPパソコン全てを移行できないのなら、重要性が高いパソコンから移行を進めるという手もあるね。
分かりました。
パパ、次回のテーマもリクエストするからお願いね。
なんだい?
今回のテーマとも関係あるけど「セキュリティ」について勉強したいの。
分かったよ。