IPよもやま話
IちゃんとP(パパ)と小野田君の会話が続きます。
今日は、パパが「M2Mの話」をしてくれるのよね。
そうだったね。
愛ちゃんは「M2M」ってどんな意味だと思うかな?
ごめん。
さっぱり知識が無いわ。
「マンツーマン」だとありふれているし、当てずっぽうだけど「マシーン対マシーン」かな。でも、それだとして何のことか分かりませーん。(笑)
はっはっは。
その当てずっぽうで正解なんだが、意味が分からなければ、文字通り「意味が無い」ね。
M2Mとは、愛ちゃんの「当てずっぽう」の「機械と機械がIPネットワークを介して相互に通信し合う通信形態を指す言葉」なんだ。
その「機械」って、何を指すの。
図1 M2MのM(機械)とは(主なもの)
そうだね。
ここで言う「機械」とはパソコンやサーバーといったコンピュータだけでなく、工場の工作機械、自動販売機、監視カメラ、ビルの空調管理システム、POSレジなど広い分野の機器を指しているんだ。(図1)
それでMとMがどうなるの?
MとMが「IP網」を介して通信することを「M2M」と言うんだ。
でも、こうした機器が通信機能を備えることは、特に目新しいことではないですよね。
そうだ。
チェーン店舗やコンビ等のPOSレジが売り上げデータを本部にデ―タを送っている。
街頭にもPHSや携帯電話モジュールを内蔵した自動販売機もあるよね。(図2)
図2をよく見ると、そのことが理解できるわ。
図2 これまでの機器がもっていた通信機能が使うネットワーク
本当に分かったかな?
補足して上げよう。
こうした機器が持つ通信機能は、これまで主に機械と機械の間を1対1で結ぶ回線を利用していたね。例えば、POSレジと電子マネー読み取り装置は別々の回線につながっている。つながる先も、メーカーのコールセンターやレストラン本社や電子マネーの運営会社と別々だよね。
その利用回線はISDNなどが主流のため、帯域が細く通信料金も割高なんだ。
それが「M2M」だと、どうなるの?
図3を良く見てごらん。
図3 M2Mになると
M2Mでは、これらをIPネットワークに集約するんだ。
すると、まず通信コストが削減できることになる。
それから?
いったんIPネットワークを導入してしまえば、新たな機器を接続しても、通信コストの追加負担はほとんどないよね。
そのため、これまでは通信コスト的に割に合わないと諦めていた遠隔監視なども導入できるようになるメリットが生まれることになる。
ネットワークの帯域が広がることで、ビルの温度監視や空調制御がきめ細かくできるようになり省エネにつながりますね。
そう、そのとおり。
それに「M2M」の用途は、産業分野だけにとどまらないんだ。
ホーム・ネットワークに活用すれば、 携帯電話で自宅の施錠を確認したり、監視カメラの画像を確認したりできるし、自宅にあるハードディスク・レコーダー内の映像を外出先のテレビから楽しむと いったことも可能となるんだね。
お父さん。
「M2M」のマーケットは、今後有望だと聞いていますが、マーケットサイズはどのくらいですか?
図4 M2Mの市場規模
出典:Wireless Wire News
ROA Holdings調べ
ある調査*1では、2010年度には1000億円に満たなかったM2M市場が、順調な成長を見せて2015年度には3300億円になると予測しているね。
海外プレイヤーの参入による導入コストの低下や、東日本大震災以降の「スマート化」への意識変革などが、市場拡大の追い風になっていると分析しているんだ。
ふぇー。凄いですね。
PBXとビジネスホンで2015年には800億円くらいなんで、結構大きなマーケットですね。
1つ余計なことを話すが「M2M」は「マシンツーマネジメント(Machine-to-Management)とも呼ばれることがあるんだ。
これは、モバイル通信の標準化団体である3GPPはマシンタイプコミュニケーション(Machine Type Communication)という名称で標準化も行っているんだよ。
お父さん。
「M2Mクラウド」という言葉を聞いたことがあります。
「M2M」にも「クラウド」の世界があるんですか?
ほほう。
新しいキーワードを知っているねー。
機器同士がコラボできるようにするためのクラウドサービス、つまり「M2Mクラウド」が始動してきたんだ。
分かり易くいえば「M2Mの実現を支援する機能をSaaSなどのクラウドサービスの形で提供するのが、M2Mクラウド」なんだね。
クラウドについてはこの前勉強したので、何となくイメージは湧きます。
でも、M2Mクラウドで具体的には、何かできるの?
そうだね。
「M2Mクラウド」を使えば、実社会の状態を「見える化」ができるようになる。自動車の カーナビゲーションシステムが発信する走行状態、産業機械の稼働状況、一般家庭の家電 製品やオフィスの空調機器の消費電力、スマートフォンによる一般消費者の位置情報など、 インターネットに接続した機器が発信する情報が爆発的に増えただろう。
M2Mクラウドは、それら機器が発信する情報を収集・蓄積・分析・共有する機能を提供するんだ。これによって、「今までは知ることのできなかった、社会全体のリアルな状況を把握できる」ようになるんだね。
ワンステップ上がる感じですね。
そうだ。
社会インフラ全体のエネルギーを管理する「スマートシティ」の実現、時々刻々と増え続ける大量データである「ビッグデータ」の活用など、クラウドを使った機器とのコラボを実現できるようになるんだよ。
そうだ。
その「スマートシティ」についても教えて欲しいな。
そのうちにね。
今日は「M2M」の話だけにしよう。
わかった。
その「M2M」、ビジネスベースになっているの?
いい質問だ。
大手IT企業(NEC/日立/NTTデータ/日本IBM/日本オラクル/富士通等)は、ここにきてM2Mクラウドサービスへ相次いで参入したり、事業強化に動いたりしているんだよ。
パパ。
色々言って悪いけど、次回はスマートシティの話は後日でもいいので、「チャイルドライン」について教えて!
新聞で読んだんだけど、接続率も悪くて「子ども電話相談」がうまくいっていないらしいの。なぜつながらないのか知りたいし、いずれママになる私としては、聞き捨てならないって気持ちなの。お願い!
はっはっは。ママになるためには早く嫁に行かないと・・・。
それはそれとして、このテーマは小野田君担当にしょう。
分かりました。
調べてみます。